カゼキリ風来帖 ~ 水霊の儀の章 その2

ちょいと文章を追加したものの、あんまり長くないですね。
まぁ、文章の練習がてらの小説なので、余計なことは気にしないこととしよう。
俺はただ、読書をして学んだ部分を自分の文章に反映させるのみ。

それでは、オリジナル小説です。興味のある人だけどうぞ。




水霊さまの御社は、八霊山が随一の滝「蒼流の滝」の裏側にある。
轟々と、天龍が地上へ降り立つように流れる水は如何なる者もその裏側へは通さない。そんな「蒼流の滝」の裏側にある水霊さまの御社であるから、まさに聖域と言えよう。
そんな聖域には水の精霊のみが入ることができるのだ。
水の精霊ならば「蒼流の滝」の裏へ立ち入ることを<滝>は拒まない。用がなくとも入ることは許されている。
しかし、そうであっても水の精霊は易々とこの水霊さまの聖域へは足を踏み入れない。というのも、
「水霊さまが怖い……」
のである。
現代……特にこれを読んでいる読者には分かるだろうが、自分よりも立場が上で大いなる権力を持つ者には頭が上がらないのだ。
したがって、一部の水の精霊を除いては、ほぼ何の出入りはない。
まったくもって聖域である。

さて……

たった今、蒼水れいと川岸みなも、それに風切あやかは「蒼流の滝」の裏側へとやってきた。
上記のことであれば、蒼水れいに連れられてやってきた風切あやかと川岸みなもは、
「蒼流の滝」の裏側へは入れないはずなのだが、ここに一つの例外がある。それは、
「水の精霊が居れば入ることができる」
というものだ。
3人の内に水の精霊たる蒼水れいが居るからこそ、川岸みなもと風切あやかは「蒼流の滝」の裏側を歩いているのである。
「蒼流の滝」の裏側は暗くじめじめとしている。そんな中で、

「なんで私が……」

と、早くも風切あやかが文句を言い始めた。
「まぁ、まぁ、気にしない気にしない」
蒼水れいは笑ってそう言うが、当の風切あやかは到底納得できない。
そもそも蒼水れいが風切あやかを誘った言葉が、
「川岸みなもの件で、水霊さまに呼び出された!お前も一枚噛んでいることだから、一緒にこい!」
なのである。
無関係を装い、誘いを無理矢理に断っても良かったものだが、それで水の精霊達と因縁を付けられては堪らない。
水の精は本当に正体不明で厄介な連中なのだ。

それにしても……

「一体、水霊さまは何者なのでしょう?」
川岸みなもが言った。
それには風切あやかも、ぴんと眉を上げた。確かに、それは気に掛かっていることだった。
「そうだね。私の知る範囲じゃあね……」
蒼水れいが水霊さまについて歩きながら語り始めた。
大まかにそれを要約すると、

一つ、水霊さまは八霊山の水を司る神さまであること。
一つ、八霊名水により水霊信仰を広めるよう、水の精霊に命をしていること。

……の二つのことであった。
それを聞いて、
「ふうん」と、風切あやかが鼻を鳴らし、
(別にどうでもいいや)
小さく頷いた。
一方で、その話を聞いた川岸みなもはというと、
(そんな人が一体何の用なのだろう?怖くなければ良いのだけれど……)
と、大層に驚いては、少しばかりの恐怖を胸に抱いていたという。
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by metal-animal | 2010-05-15 15:00 | カゼキリ風来帖 | Comments(0)
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