metal-animalのオリジナル小説です。
今回も挿絵が無いです。 今頃になって、今回くらいは描けば良かったと後悔しています。 そりゃあ・・・東方のEDにZUNさんの手書き絵がなかったら、 残念な気持ちになりますよね・・・すいません。 なので、(出来たら)次回は次回分プラスに1,2,3話にそれぞれ1枚ずつ挿絵を付けておきます。 太陽は丁度に空の天辺に差し掛かっている。 それは一日の半分が過ぎたことを示しており、一日で一番明るくなっている事だろう。 にも関わらず、ダーフ火山は暗雲に覆われており、 太陽が天にあろうとも、夜のような薄暗い闇がたちこめていた。そんな中・・・・・・ 「侵入者ー!侵入者ークケェー!」 ウ・コッケイのけたたましい声が響いてきた。 小さな脚と翼を忙しなくバタつかせ、イノシシのように猪突猛進に向かっている先には、 赤い刀身の剣の手入れをしているジオルがいた。 ジオルはけたたましく騒いでいるウ・コッケイに目を向けると、 「あぁ?また来たってのか、まったく懲りねぇなぁ」 飽き飽きしているようにジオルは言う。 しかし、魔龍グランディアを退治しにやってくる戦士を撃退するのは、実は結構楽しみにしている所があるのだ。 それは自分の力が育ての親であるグランディアの為に振るえるだけでなく、 自分の強さを実感できる。 そして何より逃げ帰っていく赤の国の戦士ときたら・・・・・・。 ジオルは、手入れをしていた赤い刀身の剣を鞘に収めると、 「じゃあ、行くか・・・・・・お前もさっさと準備しろよ」 「クッ、クケー!!」 了解!というように、バサッと翼を顔の前に立てると、ウ・コッケイは怪鳥へと変化した。 ジオルが、その丘のような大きな背に乗ると、怪鳥は黒い暗雲の中へと飛び立っていった。 ここはダーフ火山の麓から一回り離れた森の中。 流石に、ここまで来ると暗雲の影響はなく、太陽の光が大地を照らしている。 「・・・・・・っと」 トンと音を立て、ジオルは怪鳥の背から地面へと着地した。 それを確認すると、会長の身体が黒く燃え上がり、その中から、カラスのような使い魔ウ・コッケイが姿を現した。 「・・・・・・で、今日の目標は何処ら辺にいるんだ?」 「クッ、クエッ、あっちの方クエッ!」 ウ・コッケイは目標がいるであろう方向に翼を立てた。 「ふーん、あっち・・・・・・か」 ジオルは、ウ・コッケイの指し示した方向へ目を向ける。 ウ・コッケイの指し示す方向は、いつも「あっち」「こっち」とかなり曖昧なものだった。 だが、それでいて、その先には必ず目標がいる。 外れた試しは一度もない。 「いつも思うんだけど、前の探知能力はかなりのもんだよ。でも、何でいつも[あっち]だの[こっち]だの曖昧な言い方しかしねぇんだ?」 ジオルは訝しげにウ・コッケイを眺める。 ウ・コッケイは、表情を変えずに首を傾けると、 「それは探す楽しみを与えているんダヨ?決して面倒だとか分からない訳じゃないんダヨ?」 何故か口調が変わっている。 「はぁ・・・・・・分かった分かった。それで、今日も見学してるのか?」 「クエッ!ジオルの雄姿をばっちりこの眼に焼き付けておくクエッ!!」 呆れているジオルを尻目に、ウ・コッケイは、敬礼のようにビシッと翼を立てると、 バサバサと飛んでいってしまった。 たちまちに、ウ・コッケイの姿は見えなくなり、ジオルが一人その場にいるだけとなる。 「それじゃ・・・・・・俺も行くかな」 そう呟くとジオルは、ウ・コッケイが指し示した方向へと歩を進めて始めた。
by metal-animal
| 2009-04-04 22:24
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