東方小説 4章その5

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。



・・・・・・目が覚めると、そこには懐かしい風景、ううん、赤々とした紅葉の木々。
うーん、この手の目覚め方は実に何度目でしょう。思いつく限りでもめいりんししょうとの修行で2回ほどあったでしょうか。
私は目を擦りながら、少しずつと覚醒し体を起こしました。
「お、目を覚ましたようだね。盟友よ」
そう声のした方へ目をやると、そこにはにとりさんが居ました。そしてその側にはあの天狗ともう一人別の方がいます。その人は私を見るなり、身を乗り出しては「おはようございます!早速ですが取材をお願いしますね」と言い寄ってきました。

「えっ、あっはい・・・・・・」と私が困惑しつつも返事をすると、あの天狗は、
「ちょ、ちょっと文さん。いきなりで困惑してますよ?ちゃんと説明した方が良いですよ」と身を乗り出している人物をなだめます。

うーん、これはどうした事でしょうか。先程まであれだけ殺気を放っていた天狗は今はどういう訳か全く様子が違います。別のもう一方の方がどういった人物なのかも気になりますが、にとりさんも居る事ですし、心配する必要は・・・・・・ないと思われます。


「そうですね。椛の言うとおりですね。私としていた事が軽率でしたね。椛」
「って、何で僕の名前を必要以上に強調してるんですか!?ちょっと注意された事が不愉快だからってそんな嫌がらせをしないでくださいよう!」
天狗は腕をばたつかせてもう一方の方に抗議をしています。
ちなみに、その手には大きな剣も盾も握られてはいませんでした。

そんな天狗さんを気にする事なく、もう一方の方ははきはきとした声で言いました。
「私はこの幻想郷で『文々。新聞』って新聞を書いている射命丸 文っていいます。見た事あります?ありますよね。文々。新聞」
「ああっ・・・・・・はいっ」
そういえば、めいりんししょうとの修行をしていた時に門の近くにあるテーブルの隅にそんな感じの新聞が置いてあるのを見た事がありました。もっとも修行に集中していたので中身を見た事はありませんでしたが・・・・・・。


「なら話は早いです。早速記事の為の取材を――」そう言いかけた所で、
あの天狗さんがずいっと文さんを退けました。
「良い所だったのに、何をするんですかー」と文さんはカメラを片手に抗議をします。先程とは全く逆の状況です。しかし、天狗さんはそれを気にすることもなく、静かに礼儀を正して言いました。

「先程は色々と失礼しました。私は、この妖怪の山の哨戒天狗、犬走 椛と申します。数々の暴力、非常に申し訳ありません。しかし、外敵からの侵入を防ぐ為に何人たりとも通す訳にはいかないのです。どうかご理解願いたい・・・・・・」

そう言うと椛さんは深々と頭を下げました。
「ええっ、いやいや」と私はまたも困惑していましたが、とりあえず、こちらも深々と頭を下げます。

「はは、堅物の椛なんて置いといて、取材をお願いしますよ。サンさん」
仕返しとばかりに今度は文さんが椛さんを押し退けて割り込んできます。
「もう・・・・・・」と椛さんは呆れたように溜息を吐きました。
そんな様子を見かねたにとりさんが「椛よ、私と向こうで将棋でも打たないかい?」と誘うと、返事を待つまでも無く、椛さんをカバンから伸びているマジックハンド・・・・・・と言うべきでしょうか、機械仕掛けの長い腕でずるずると引っ張っていってしまいました。

「さて、堅物もいなくなった事ですし、早速ですが貴方の事を聞かせて下さい」
それに「名前ならにとりさんに聞いているので簡潔でいいですよ」と付け加えて文さんはメモを開きペンを構えます。

私の事・・・・・・うーん、他の事ならともかく、いざ私の事となると説明するのは難しいですね。
私の名前は終夜サン・・・・・・これはレミリアお嬢様から貰った名前です。本当の名前は知りませんしあったのかどうかも分かりません。そして、紅魔館のメイドとして働いています。名前と同様にそれ以前は何をしていたかも分かりません。気がついたら紅魔館の一室でしたから。そうしてめいりんししょうと弾幕勝負をして、紫パジャマ・・・・・・あぁ、パチュリーさんの所で感応紙を使ってみて・・・・・・今思うと感応紙は何の為に使ったのでしたっけか・・・・・・。まぁ、それはそれとして、その結果、あのりゅうが現れて・・・・・・ああっ!!


「あのりゅうはどうしたんですか!?」
上記の事を説明していた所での不意に私から質問が出ました。
文さんは少し驚いたようで、「ややっ!?」と声を出し目をぱちくりさせた後で言いました。

「あぁ、あの氷の化身ですね。あれなら大丈夫です。今はもう大分余計な力も抜けて落ち着いているようでしたから、今はあっちの方で休ませてますよ」
それを聞いて私は胸を撫で下ろします。
文さんは「そんな事はどうでも良いですから、もっと話を聞かせて下さいっ!!」と目をキラキラさせながらせがんできます。ここまで来ると話の殆どは終わっていましたが、それでも最後まで丁寧に丁寧に話を続けました。


「・・・・・・はい。ありがとうございました!これで今度も良い記事が書けそうです」
「え?私の事を記事に・・・・・・?」
「そうですよ。椛との弾幕勝負も写真に収めましたし、きっと今度の新聞大会でも話題は持ちきりですよ、うん」
文さんはニコニコと新聞大会の事を思い浮かべているようです。
そう思うととても不思議な気分になりました。何だかこちらも嬉しくなってきます。
それにしても、私の話なんかで話題になるものなのでしょうか。


「さて、早速私は記事を書きに行きますので、そろそろお暇しますね。それでは」
文さんはメモを持っていない方の手をふらふらと振ると、足を曲げ大きく腰を下ろすとバネのようにビューン!と飛んでいってしまいました。そのまま2,3回木々を蹴ると文さんの姿は忽ちに見えなくなりました。


「さて、私も帰らないと」
私は将棋の最中のにとりさんと椛さんの元へ寄ると別れの挨拶を済ませます。

「おや、もう行ってしまうのか。もっとゆっくりしていっても良いんだよ?」とにとりさん。
「そうですか・・・・・・行ってしまわれるのですか・・・・・・」と残念そうな椛さん。

椛さんとは本気と書いてマジでの勝負をしたものです。
今でも、あの時の椛さんの恐ろしさを思うと鳥肌が立ち、顔からは血の気が引いていくのです。
でも、椛さんも本当は良い人なのですね。
にとりさんと同じように、本心から別れを惜しんでいるようです。それに・・・・・・

「あの・・・・・・仕事とはいえ、辛い思いをさせてしまって本当に申し訳ありませんでした」
しゅんとした顔で再び頭を下げました。
犬のような大きな耳も元気なく下向きに垂れてします。

私も「いえ、貴方達の土地なのに入ろうとした私が悪いんですよ。それに怪我はしましたけど、この通り元気ですから気にしないで下さい」と言葉を返すと深々と頭を下げました。
そして、椛さんが差し出した右手を私はしっかりと握り握手を交わしたのです。
にとりさんも私もとばかりに握手を求めてきたので、同じようにしっかりと握手をしました。


そうして、私は二人と共にりゅうが休んでいるという方へ行きました。
りゅうは川のほとりの岩の上で体を丸くして休んでいます。
私はそろそろと恐る恐るりゅうへ近づくと、そっと頭を撫でてみました。

りゅうはすっと目を開けると、私の方を見ます。その目はとてもつぶらで優しく、紅魔館を飛び出した時や椛さんの前に立ち塞がった時のような鋭さは微塵もありません。
「キュイイ」と可愛らしく鳴くと私の頬へ顔を押し付け、ペロペロと舐めだしました。

「あはは、くすぐったいよ・・・・・・って、あれ?」
急にりゅうが淡い水色に光りだしました。
その光りが私の中へ入ると、ふわりと私の身体が軽くなります。
「あれ・・・・・・あれあれ」それと同じくして、私は宙へ浮かびだしたのです。

にとりさんと椛さんは驚いた様子で見守っていましたが、やがて空へと浮かび上がって行く私を見て、大きく手を振りました。
状況が掴めない私ですが、ここはお二方に大きく手を振り返します。
そうして、お二方が見えなくなるくらいに上昇すると、ある方向へ向けて滑り出しました。
宙を滑る・・・・・・というのは良く分からない表現ですが、私も今の状態が分からないのです。
急に浮き出したかと思えば空を飛んでいる――そんな状況でしたから。


しかし、不意に「キュア!キュア!」とあのりゅうの鳴き声が聞こえ私は思いました。
これは、りゅうの力なのでしょうか、と。
りゅうは淡い水色の光りとなり私と一体化した。それにより、私に宙を飛ぶ能力が備わったといった所でしょうか。とはいえ、私の意志で飛んでいる訳じゃないのですけれど・・・・・・。
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by metal-animal | 2009-08-28 18:47 | 東方幻想入り小説 | Comments(4)
Commented by ネイムレス at 2009-08-29 01:37 x
どうもー、読ませていただきました。
今回は読み応えが有って、なかなかに満足させていただきました。
丁寧な文章をこれだけ書くのは難しく、大変でしたでしょうお疲れ様です。

最初は険悪であったのに、馴染んでみるとほのぼのしてしまうのは幻想郷のいいところですね。
文様の飛び立っていくシーンもスピード感があり、頭の中ですんなりとイメージできました。
紅魔館に戻った後はパチェさんとどんな珍騒動を繰り広げるのか期待が膨らみます。
これからもこの調子でがんばって行ってくださいませ。

最後に、誤字かなと思われるものを発見したので。間違っていたらごめんなさい。
>犬のような大きな耳も元気も無しに垂れてします。

それでは、また次も楽しみにしていますね。
Commented by kujoh_ryu at 2009-08-29 09:14
早く風神録をプレイして、山の方々と戯れたい。
metal-animalさんのせいでそんな昂りが増しました。ありがとう!
なんかこう純粋というか、記事書きたいという欲求に素直な文がとても可愛いです。
やっぱり我が道突き進んでる方が良いんですよ。いや、真逆の子もそれはそれで好きですが。
椛も公私分けつつ義に篤い感じがお気に入りでございます。
いやはや、風神録プレイしたいです。弾幕勝負したいです。
Commented by metal-animal at 2009-08-29 23:09
>ネイムレスさん
こんばんは。
何より地盤を固くしてあるので、書く事は自体は余り難しくないのですが、タイプするのが何より大変でしたよ^^;
文の飛び立ちシーンは俺の好きな漫画のイメージも手伝って結構好きな場面だったりします、うん。

そして、本当に幻想郷は良い所ですよ。
色々な出来事がありましたが、それでも俺は幻想郷に自分の求める答えみたいなのがあるような気がするんですね。はは、何を言ってるか余り良く分からないかもですが、要は好きって事なんです、うん。

誤字については、色々考えてそれで行こうと思ったものですが、やっぱりちょっと違和感があるので、修正しておきました。
ご指摘ありがとうございました。
Commented by metal-animal at 2009-08-29 23:15
>玖条柳さん
風神録は4面が最高です。
最初は先に進めなかったけど、フォールオブフォールに想いを巡らせて感動したのも良い思い出です。

文はとても大好きで、本当に書いていて楽しかったですね。
良く見ると口癖のように「早速」って言葉がついていますが、やっぱりイメージ的に速さを追求している部分があるんですね、ははは。
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