東方小説 4章その8

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。






ゆっくりな移動だったものの、そんなに時間も掛からずに、私は人間の里へと到着する事が出来ました。

里の端――入り口の辺りに着地します。
高度を少しずつ下げて、大体2mの高さからタン!と音を立て地面に足を付けました。
ふぅ、高が着地、されど着地です。
単なる着地でしたが、かなり緊張してしまいましたよ。
やはり飛行する事には慣れておかないとダメですね。僅かな突風や少しの下降にも、胸がドキドキ鳴りましたし、それに不意に飛べなくなって落ちていったりとか、いきなり超特急になったり、そういった不安も常に感じていました。もしそんな事があった日には、その場で気を失ってしまうかもしれないですね。

そんな事を思いながら、パタパタとスカートや脚に付いた埃を払います。
すると、「キュウウイー」と風の音とはまた違った高い音が響きました。私の身体から離れたりゅうが寂しそうな声を上げたのです。
あぁ、そうでしたね。空を飛べるのはりゅうの力によるものでしたね。
りゅうの協力をがあってこそ私は空を飛べるのですから、信じてあげないとダメですね。
「ごめんなさい」と諭しながら、私はりゅうを撫でました。りゅうは気持ち良さそうに笑ってくれました。


「さて、行きますか・・・・・・」
幻想郷の人間達の住む『人間の里』、そこは一体どのような世界なのでしょうか。
今まで過ごした紅魔館、そして妖怪の山はそれこそ人間とは無縁の世界でしたし、
私にとって、これは幻想郷で初めての人間との接触になるのです。
どのような人々がどのような生活をしているのか、それを知らない事にちょっと怖さを感じた私でしたが、それと共に妖怪の山のような戦いのない平和な世界への安心感もあったのでした。



はい。今私達は、人間の里を歩いています。
そこには木造の瓦屋根の家や建物が立ち並び、人間の人々が――私を避けるように歩いています。
あれ・・・・・・私って人間でしたよね?妖怪ならともかく、人間の私が避けられるはずはないのですが・・・・・・。でも、里の人達は明らかに私を避けるようにしています。私を見てはささっと隠れてしまう子供もいるのです。もしかしたら、私が余所者?――それも紅魔館の人間で悪魔であるレミリアお嬢様の仲間である事が問題なのでしょうか。

不思議そうに、そんな事を考えながら歩いていた、まさにその時の事です。


「おい、そこのお前」
何かを警戒するようなドスの利いた声が私の後ろから私に向かって発せられました。
私は、びくっと身体を揺らした後で、恐る恐る後ろを振り返ります。
あぁ、このパターンで呼び止められる事には余り良い思い出はありません。
嫌な予感を走らせながら、私はその人物へ目を向けました。
りゅうもまた警戒するように身構え、グルルと唸りを上げその人物を睨んでいます。


そこには、一人の女性が威圧感たっぷりの仁王立ちで立っていました。
黒い小屋のような、不思議な形をした帽子に青の中に白色が混ざった長い髪。
そして裾が折った折り紙にハサミを入れて広げたような特徴のあるスカートが目に付きます。
色々な特長には目が行きますが、何よりその二つの目には強い気持ちと言いましょうか、
見るものを怖がらせる威圧感を発しているのです。
あの椛さんが発した殺気とはまた違う、相手を確実に怯ませるような強い『気』です。
そんな女性が退路を塞ぐように、振り返った私の前に立ってるのでした。


「えっ、えっと・・・・・・何かごようでしょうか?」
私はただならぬ雰囲気に戸惑いながらも、特に平和的に・・・・・・すいません、刺激しないように語り掛けてみました。すると女性はちょっと眉を動かした後で、気を許す事のないような強い目をしたまま言いました。

「妖怪を連れた女が里を歩いていると言われて来てみたのだが、お前は里を襲うようには・・・・・・」
女性は自分を睨んでいるりゅうをキッと睨み返した後で、下から上へと私を物色するように視線を動かしました。そして何かに気が付いたように頷くと私の顔を見て言いました。


「うん?お前はあの吸血鬼の仲間か?確かあの満月の晩に里へやってきた吸血鬼と一緒に居た女がお前と同じ服を着ていたが・・・・・・」


吸血鬼と一緒に居た女・・・・・・『吸血鬼』はレミリアお嬢様で『一緒に居た女』というのは咲夜さんでしょうか。
思い当たる節のある言葉に、私は胸の高鳴りと頭にふらふらを感じながら答えます。

「えぇ、あっ、はい!私はっ、その・・・・・・吸血鬼・・・・・・あぁ、レミリアお嬢様の元で働いている終夜サンっていいます。今日は館の食料を調達しに来たんですが・・・・・・」

おどおどしながら答えでした。
これを聞いたと女性はみるみる内に訝しげに顔をしかめると――

「食料?さては人間をさらうつもりだなっ!?」
・・・・・・と大声で怒鳴ってきました。周りの空気も心なしか大きく震え、強烈な衝撃波のように、怒声が周囲へと響き渡っていきました。

これには私もりゅうも酷く驚いてしまって一つばかり大きく飛び跳ねると、
「すいません!すいません!!」とその場にうずくまり、頭を抱えてただただ只管に謝りだしてしまいました。
ほんっとうに情けない話なのですが、本当にそれだけに強い怒気を帯びた声だったんです。

「食料と言っても、主に野菜なんです!人をさらって来いなんて言われてないんです!!本当です!本当なんですっ!!」

よっぽどに女性の一喝が聞いたようです。
私は顔を真っ赤にして目に涙を浮かべながら、ひたすらに謝り続けています。
特に抵抗する事もなく、親の大事なものを壊した子供のように泣き叫ぶ私の様子に、女性もかなり困ったようです。辺りをきょろきょろと見渡した後で、謝り続けている私に駆け寄ると幼子を慰めるように私の背中にすっと手を置き擦った後で、慌てた口調で言いました。


「あ、あぁ、分かった分かった。私が悪かった。だから、とりあえず落ち着いて、な」
「すいませ・・・・・・ふぇ?」
私が顔を上げると、女性は汗を垂らしながらにこりと笑って頷きました。
「そうだな、近くに私の寺子屋がある。そこで落ち着いて話をしよう」
「・・・・・・ふぁい」
私は目もとの涙を拭くと立ち上がりました。
そして、びくびくと怯えているりゅうをなぐさめた後で、脚に付いた砂埃を払い落とします。

「あぁ、そういえば私の自己紹介がまだだったな。私は上白沢 慧音、この里で教師をしているんだよ」
そう一つ挨拶をすると上白沢さんは周りに何か合図を出しながら歩き出しました。
その合図が何を意味しているのかは分かりませんでしたけど、私とりゅうは上白沢さんの後をついて歩き出しました。
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by metal-animal | 2009-09-18 18:01 | 東方幻想入り小説 | Comments(2)
Commented by ネイムレス at 2009-09-18 21:31 x
どうも、読ませていただきました。

なんだか、凄くサンさんが幼くなっている様な印象を受けました。
なんだか椛の職業モードがトラウマになってしまったようですね。
面倒見のよさそうな慧音先生とどんな会話を繰り広げるのか今から楽しみです。

それでは、短いですがこれにて。
Commented by metal-animal at 2009-09-18 22:59
>ネイムレスさん
こんばんは。
どちらかというと、慧音先生の『教師』という職業柄を重視していて、教師特有の威圧感や恐怖感にサンが屈していくという感じなので、結果的に怒られる生徒=子供 みたいに幼くなってしまったのかもしれないですね。

次回は、二次と原作で口調が違っているあの人が出てきます。
慧音先生というよりそちらの人の方との絡みが多いものですが、自分の率直な気持ちでの『あの人』を描けたと思うので、良かったら見てやってください。
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