東方小説 4章その10

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。






それから、暫く、一言のお喋りもなしに時が過ぎました。
妹紅という女の人は、机に頬杖をついたまま、だんまりと何かを考えているようです。
時折、私の方を見ては何も言わずに、また別の所へ目を向けるのです。

「あの、私の顔に何か付いていますか?」
あまりにちょこちょこと私の方を見てくるので、私は思い切って聞いてみました。


「あぁ、何か話す事はないかなってね。慧音も行っちゃったし、いくら私でも暇で暇でしょうがないのよ」
声を掛けてくれたのが嬉しかったのか、特に面白い事はありませんでしたが、妹紅と呼ばれた女の人は、にこにこと笑って答えてくれました。

「そうなんですか。あ、えーと・・・・・・」
「私は藤原妹紅。妹紅でいいよ」
「妹紅さんですね。私は・・・・・・」
「終夜サンっていうんでしょ?さっき慧音から聞いたよ。それよりも、何で貴方みたいなのがあの吸血鬼の所で働いてるのよ?」

「それは・・・・・・」私は、今日までこの幻想郷で過ごしてきた日々を話しました。
最初の日の事、めいりんししょうとの修行の事、妖怪の山でのこと・・・・・・そして3ヵ月後の博麗霊夢との勝負の事、などです。
いきなりの事ではありましたが、不思議とこの人なら――妹紅さんなら話しても良い・・・そんな気持ちがあったのです。

「へぇ、なるほどねぇ」
妹紅さんは、面白そうに、楽しそうに、うんうんと頷きながら言いました。
「でも、あなたの話の中じゃ、弾幕勝負で勝った事がないじゃない。それも一方的にやられちゃって・・・・・・そんなだったら、弾幕勝負はすっぽりやめた方がいいんじゃないの?」
にこにこと笑いながら、悪気はなさそうに言いました。しかし、その言葉は悪口のように、十分に私の心に刺さったものです。それでも、私は、それに怯む事無く真剣な気持ちで答えました。

「それでも、私はレミリアお嬢様の為にも強くなりたいんです。今は弱くても、きっと強くなります。そして、レミリアお嬢様と一緒に居たいんです」

「・・・・・・そうか」

妹紅さんの顔から笑みが消え、どこか切なそうな真剣な表情が表れました。
「なるほどね・・・・・・貴方も慧音と同じなんだね。慧音も貴方みたいに里の人や私を守りたい、ずっと一緒に居たいって言ってた。ま、慧音は貴方みたいに弱くないけど」

そう言うと、妹紅さんは、すっと立ち上がり背筋を伸ばすと、教室の入り口へ歩き出しました。
「ちょっと外へ出ようよ。色々と見たいもの見せたいものがあるからさ」
「あっ、は、はいっ!」
ささっと歩き出した妹紅さんを追い、私は教室を後にしました。



そうして、私とりゅう、そして妹紅さんは、慧音さんの寺子屋の裏へと出ました。
寺子屋の裏は庭になっていて、鞠などを使って遊べそうなものですが、今日は寺子屋が休みのせいか、先程まで居た教室と同様に、この庭もがらんとしています。
先に出ていた妹紅さんは、その庭の真ん中で待ち構えるように、ポケットに手を突っ込みながら立っていました。

長く白い髪がパサパサと小さく揺れています。
「風が出てきたね・・・・・・まぁ、これくらいなら丁度良いかな」
そう言うと、右手を前に出します。手のひらを空へ向け、目に力を、集中を始めました。
私には見えます。その右手に『気』が集まっていくのを・・・・・・でも、あれは、ただの気ではないです。
妖怪が使う『気』と言いましょうか。独特の妖しさを持った『気』なのです。

もともと、紅魔館に居ながら私は余り妖怪の『気』を感じる事はありませんでした。しかし、あの妖怪の山での一件以来、妖怪の『気』というものの感じが分かるようになってきたのです。一種のトラウマというやつでしょう。


「はぁッ!!!!」と妹紅さんが声を発すると、右手の手のひらからです。轟々と燃え上がる大きな鳥の形をしたものが現れ、妹紅さんが、そのまま腕を宙へ向けてかざすと、その轟々と燃え盛る火の鳥は大空へ向けて、一直線に、舞い散る枯葉のような火の粉を散らしながら、空の青の中へと飛んでいきました。

ちらちらと、火の粉が枯葉のように、はたまた雪のように、降っては白く消えていきます。
私は、ただただ、赤から白へと変わっていく火の粉を見つめていました。

「どうだった?弾幕の形態変化。これが出来る奴は知ってる範囲でも早々いないね」
妹紅さんは得意げに言いました。未だに呆気に取られながらも私は言葉を返します。
「とても、凄くて綺麗でした。でも、どうして私にそれを・・・・・・?」
「単なる気紛れよ。永く生きてると、やりもしない事をやろうとする可能性も高くなるの。火山だって、噴火した後は暫くは大人しいけど、生きている限り、またいつか噴火する・・・・・・そういうこと」


『長く生きている』・・・・・・妹紅さんが、さっきからぽつぽつと口に出している言葉です。
見た目は私と同じくらいの歳なのに、その身に纏っている雰囲気といい、先程の妖気といい・・・・・・妹紅さんは何処か普通ではありません。・・・・・・これは――

「・・・・・・貴方、今、私の事を考えているね?」
「ひゃうっ!!」
「あぁ、別に良いよ。貴方、妖気とかそこそこ感じられるんでしょ?なら、隠せるものではないし、気にしなくても良いよ」

そう言った妹紅さんは、笑ってはいたものの、小さく切なそうな色を顔に表していました。
しかし、その小さな部分すらもすぐさま隠し、きっぱりと言います。

「それより、貴方も弾幕の形態変化をやってみなさい。急には無理だけど、さっき私の出した焼き鳥みたいなのをイメージすれば、そこそこはできるはずだから」
「ええっ!!私には無理ですよぅ!第一、その形態変化って出来る人は少ないんでしょう!?」
「だからやるのよ。これが出来れば、他の妖怪との差を少しは埋める事ができるからさ」

妹紅さんは、私の背中をぐいぐいと押して、先程、妹紅さんが火の鳥を出した場所へと立たせました。
「わ、わかりました」と私が観念すると、「それで良いの」と満足そうに肩を叩きます。
そして、私から離れると、教室の入り口近くにある、丸太に腰を降ろしました。


私は、仕方なく先程、妹紅さんがやっていたように右手を出し、『気』を集中します。
そして、目を閉じ、その黒の中へ、大空の青へ飛んでいった、あの火の鳥を形作っていきます。
揺らめく、炎を纏った、頭・羽・尾――印象に残った、記憶に鮮明に残っている部分を用いて、イメージを構成していきます。

よぅし・・・・・・今だっ!! そう思った瞬間、私の中の気の流れが止まりました。
「えっ!!」何が起こったか分からず、とりあえず、視線を泳がせると、水色に光るりゅうが見えました。
そのりゅうは、空を飛んだ、あの時のように、光りとなり私と重なると、とたんに膨大な量の『気』が動き出しました。


「あれはっ!!」妹紅さんが声を上げ、丸太から立ち上がるのが見えます。
しかし、私はそれを気にする事は出来ませんでした。今にも、溢れんばかりの大量の水の入ったバケツを抱えてフラフラしているように、今の私は、多量の『気』を抱え、それをどうすれば良いのか全く分からないでいるのですから。

このままでは・・・・・・そう思った所で、あるイメージが浮かびました。
多量の『気』を一つ一つに纏めて放出するのです。位置とに放出する事は・・・・・・考えませんでした。
そうすれば、恐らく、激しく流れ出る『気』を止められずに暴走してしまうからです。
それでも、一つ一つに纏めて放出するのも、非常に大変な事です。
しかし、今の私に、他の方法を考え実行する力はありません。

思い切ると、私は少しずつ、持てる限りの注意を注ぎながら、『気』を放出しました。
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by metal-animal | 2009-10-02 18:48 | 東方幻想入り小説 | Comments(4)
Commented by ネイムレス at 2009-10-02 22:35 x
どうもー、早速読ませていただきました。

妹紅の背景は色々語られていますが、共通しているのは長く生きている事とこれからも行き続けていかねばならないという不死の苦痛ですかね。
どうしても、不老不死という物は暗い影を背負いがちに成ります。サンとの出会いで少しでも楽しい思い出が増えてくれるといいですね。
一箇所独特な言い回しがあり、ちょっと首を捻りもしましたが、何度も読み返してみると味があって中々良いかもと思えてきました。

>つ良く
此方は恐らく誤字かなと思われるもの。

相変わらずいいところで切れていて、自分の小説も放り出してやきもきしてしまいます。
それでは、続きを楽しみにしていますね。
Commented by 兎と亀マスク at 2009-10-03 00:37 x
バトル物で「形態変化」というと「NARUTO」を思い出しました。私は「NARUTO」はあまり詳しくないですが(汗)。

単なる「弾」から具体的ななにかへの形態変化。サンはゆっくりですが確実に進化、強くなっていっていますねー。美鈴といい、今回の妹紅といい、サンはわりと師匠というか教えてくれる人に恵まれているような。パチュリーとの相性は最悪ですが、結果的にりゅうという最高のパートナー?を得るきっかけになっていますし。
サンの弾は普通に「りゅう」の形を模したものになるのかなーと思いましたが、違う……のかな?サンの新たな弾幕がどうなるのか次回が楽しみです。

妹紅、言葉遣いは丁寧ですがわりとズケズケとものを言いますねw 妹紅が火の鳥を放つシーンが幻想的で綺麗だなーと思いました。

では、また来ます~。
Commented by metal-animal at 2009-10-04 00:08
>ネイムレスさん
妹紅さんについては色々と感じられる事があるんです。
永夜抄EXプレイしていて、妹紅さんが登場した時のこと。
背景は綺麗な夜の群青色でそんな画面の中で白く光る髪でにこにこと笑ったり、恒例の皮肉を言う妹紅さん。それにエクステンドアッシュのメロディと重なって、本当に何だかな・・・寂しさというか全てを諦めたような感じが伝わってくるんです。あんなに笑っているのに・・・ですよ。

文章については、多分「火の粉」の所でしょうかな。アップする際に少し手直しを入れた部分なのですが、ここだけでなく、色々な箇所で、自分がインプットした文章を出せるように頑張っていますよ。
無難な文章や印象狙いも良いものですが、やはり、俺としては、分かり易さを追求していきたいものですよ。

誤字については、修正しておきました。
報告ありがとうございます。
今回は、ラストまでいけるかと思ったものですが、やっぱり長くなってしまい、ここで切るハメになりましたよ(苦笑)
次回はどうなるかは分かりませんが、どうぞお楽しみに。
Commented by metal-animal at 2009-10-04 00:27
>兎と亀マスクさん
「形態変化」はバトル物では基本的なものですが、今回はNarutoのリスペクトです。とはいえ、この作品はここぞという所でしかバトルがないので、そんなに生きるものではないのですが・・・^^;

良い師匠が多いのは、東方のキャラ達は根が良いのが多い事が要員だと思います。きっと真摯な気持ちで頼み込めば、どのキャラでも色々な事を教えてくれる事だろうと思いますよ(笑)

「りゅう」を模した弾幕やスペカは考えにあります。
・・・ただ、やっぱり ここぞ という所でしかバトルがない予定なので、出番はそんなにないかもしれないです。でも、それだけに あっ と驚くような凄いものを予定しています。どうぞお楽しみに。


最後に、妹紅さんの事ですが、妹紅さんは、戦いの厳しさなどを知っているから、戦いに向かおうとするサンを止めたい想いがあるんじゃないかと思います。まぁ、単なる意地悪かもしれないですけどね(笑)
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