東方小説 4章その11

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。







ビシャン。
水風船が破裂するように、それが弾け、青色の水が四方八方、
辺りへと霧のような余韻を残し飛び散ります。
妹紅さんは勿論、私もまた、その様子をただ呆然と見ていました。

「・・・・・・今のは凄いよ。今のが自在に使えるようになれば、きっと強くなれるわ――でも・・・・・・」
私の身体がふらつきます。
「やっぱりあれだけ『気』を放出すれば身体にはくるみたいね・・・・・・」
ふらついた末に私は足を折り倒れます。すかさず、駆け寄った妹紅さんが抱き寄せました。
「――うん、でも意識はあるかな。いや、大したものだよ」
それでも、妹紅さんは私の頬をパシパシと2,3発叩きます。
「おっと、丁度、慧音が帰ってきた。おーい、慧音、ちょっと手伝ってよ」

ザッザッと上白沢さんでしょうか、妹紅さんとは別のもう一人の足音が聞こえてきます。
私は意識を保つ事ができていましたが、声も、身体も、指一つ動かす事が出来ず、妹紅さんに抱えられ、そのまま、先程の教室とは別の布団の敷かれた部屋へと運び込まれていきました。



暫くして、ようやく私は話す事や動く事ができるようになりました。
以前と比べ、少しばかり回復が早くなった・・・・・・のかもしれません。
それでも無理はせず、ゆっくりと体を起こします。
りゅうも今は分離し、私のそばで、心配そうに私を見ています。
「もう大丈夫か?」
上白沢さんが、布巾を絞りながら言いました。横になっている間、おでこに濡れた布巾を乗せてくれていたのです。
「妹紅から事情は聞いたよ。あの時は、高圧的に迫ってすまなかった・・・・・・。しかし、お前が主を思うように、私もこの里の人間達を思い、守らなければならないんだ」
上白沢さんが頭を下げます。その様子を見て、隣に居る妹紅さんが苦笑を浮かべました。
「あぁもう、相変わらず慧音は固いんだから。でも私は、そんな慧音が好きだよ」
「も、妹紅、何を言うんだよ・・・・・・もう」鼻をかきながら、照れくさそうに笑います。
妹紅さんと上白沢さんは、本当に仲が良いです。それはもう、レミリアお嬢様と咲夜さんのように・・・・・・。私は はぅ、と一つ息を吐くとそんな二人を思い浮かべながら――そんな二人を見つめていました。


「さて、もう日が沈む、サンもそろそろ帰った方が良いんじゃないか?」
窓の外の暁の空、夕方の雲を見て上白沢さんが言いました。
私もまたそれを見ます。確かに、もう外は燃えるようなオレンジ色に染まり、窓の枠のすみっこで薄暗い夜の闇が、今にも空を暗い黒へと変えようと顔を覗かせているのです。
「そうですね・・・・・・そろそろ帰らないと怒られてしまいます」
時間があるなら、もっとお二人と話していたかったですね。
人間の里の事や幻想郷の事。二人が見たという、咲夜さんとレミリアお嬢様の事。
色々な事を話して聞いて――楽しみたかった。
そんな、名残惜しい思いを抱えながら、私はすっと立ち上がりました。

「えーと、買い物袋はこれですね」
少しばかり頭を下げた後で、野菜の入った買い物袋を手に取ります。
そして、上白沢さんの寺子屋の玄関へ歩き、振り返ると言いました。

「今日は本当にありがとうございました。色々とありましたけど、上白沢さん・・・あぁ、慧音さんに妹紅さんに会えて本当に良かったですよ」
夕日をバックに、満面の笑みを浮かべて、私は言います。
・・・・・・ですが、本当は――本当は寂しくて泣きそうだったんです。
レミリアお嬢様に咲夜さん、めいりんししょうに紫パジャマ、にとりさんに椛さんに射命丸さん。
この幻想郷で、色々な出会いがあったものですが、初めて親身になってくれたと言いましょうか、初めて好きになれた人たちなのです。
あぁ、他の方々も好きですよ。でも、この人間での里の出会いは、何処か懐かしい・・・・・・特別なものに思えたのです。ですから、心が揺れて、苦しくて――しょうがないのです。


「終夜サン!」
不意に慧音さんが声を上げました。
「またここに来る事があったら、是非とも寄ってくれ。今回はあんまりだったが、次に来た時は、寺子屋の授業で幻想郷の事を教えてやる」
「ふふっ、慧音の授業なんて誰が好き好んで・・・・・・」
「勿論、その時は妹紅も一緒にだからな!」
「げぇー、でもサンと一緒なら受けても良いかな、なんて」

「だから、いつでも遊びに来てな・・・・・・サン」


・・・・・・私は、その言葉に今度こそ泣きそうになりました。
でも、しきりに目を擦っては、涙を見せまいと笑って――「はいっ!!!」と精一杯の返事を。
そして、りゅうを手元へ寄せ、合体を促すと、逃げるように赤と黒の入り混じった空へ飛んで行きました。
何気なく、ちらっと後ろを振り返ると、慧音さんと妹紅さんが大きく手を振っていました。
少し辛かったけれど、私は前を向いたままで大きく手を振り返しました。
きっと、お二方には見えていなかったと思います。手を振った右腕のそばの右の頬、
そこから一粒の涙が流れ、宙へ、零れていきました。
ダイヤモンドのように・・・・・・広い世界の中で小さな輝きを放ちながら。


                          ※

           
「おはようございます。レミリアお嬢様」
「おはよう・・・・・・というより、こんばんはね。それで、今回はどうだったかしら?」
「そうですね。中々の結果だったと思いますわ。トランプを媒体に相手の状況が分かるなんて、流石はパチュリー様、器用ですわ」
「あぁ、あれは紫の陰陽球を参考にしたらしいわ。でも、便利なだけに色々と難しいんだって。使える時間が短かったりとか状況によってぼやけるとかでぼやいてたわ。あれの事もあるし、しばらくは徹夜かもねぇ」
「それは大変ですわ。後で早速、野菜の入った紅茶でも作りましょう」
「・・・・・・って、私が聞きたいのはパチェの事じゃなくて、サンの事なんだけど、咲夜、分かってる?」
「そうですね。中々の結果でしたわ。これならきっと良い勝負ができるようになると思います」
「そう、何か腑に落ちないけど、咲夜がそう言うならそうなんでしょうね。とりあえず、楽しみになってきたかしらね」
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by metal-animal | 2009-10-09 19:03 | 東方幻想入り小説 | Comments(2)
Commented by ネイムレス at 2009-10-09 22:33 x
どうも、読ませていただきました。

読んでいてちょっと気になったのが、慧音先生とサンが何時の間にか仲良くなっていて、なにやら特別な感情を抱いていた事ですかね。
妹紅とサンが仲良くなるのはイベントとして描かれていたのでわかるのですが、どうしてこんなに慧音との好感度が上がっているのかちょっと違和感のような物を感じました。
看病のほかにももう一つ何か仲良くなるきっかけのようなイベントがあったほうが良いのではないかと、少し思いましたね。

なんだか生意気な意見を言ってしまって申し訳ありませんでした。
それでは、また続きを楽しみにしていますね。
Commented by metal-animal at 2009-10-09 23:52
>ネイムレスさん
こんばんは、毎度、コメントありがとうございます。
そうですね・・・ちょっと迂闊でした^^;
慧音先生と妹紅はセットで考えていたので、そこの所が出てしまったのようです・・・これは反省です。
こういったミスも踏まえて、次回以降はもっと気合を入れて行きますよ!
ミスがあったからこそ、次に繋げる事が出来る・・・もっと先に進む事が出来るのです。本当に貴重な御意見ありがとうございました。

そして、4章もここで終わり、次からは5章となります。
一通りのイベントも終えて、これからは下り坂、クライマックスとなります。未だにラストまで描けてはいませんが、どうぞ、これからも楽しんでいただければ幸いです、それでは。
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