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東方小説 5章その2

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。







「え?」私は後ろへ動きかけた足を止めました。
「だから、サン、貴方にもやってもらうって言ってるのよ。今回はテストだけど、遊び程度でいいわ。それにルールも覚えて貰わないといけないから」

遊び程度?ルール?何やら状況が分かりません。どういう事なのでしょうか。

「魔理沙は知ってると思うけど、今回のフィールド魔法は特殊なもの。弾幕勝負は弾幕勝負でも、あの『花の異変』の時に行っていた形式でやるのよ」
「おお、あれの事か!それは良いな!」
パン、と大きく手を叩き、霧雨魔理沙は右腕をブンブンと振り回します。
そして「んじゃ、どうすれば良いんだ?」と紫パジャマに尋ねました。
「言われなくても説明するわよ」
紫パジャマは呆れたように呟き、私の方へ目を向けます。
「あぁ、そうそう。一応、実戦形式だから使い魔を呼んでおいて。ルールはその後で説明するから」

何だか今回に限っては、余り紫色の毒気がない紫パジャマです。
嬉しいといえば嬉しいのですが、どうも不思議と張り合いがないですね・・・・・・うーん。
そんな事を考えながら、私は図書館を一時後にします。
そして、エントランスを抜け、門の所。めいりんししょうと一緒に門番をしているりゅうを迎えに行ったのでした。



「さて、さっそくだけど、この魔方陣に乗ってくれるかしら?」
そう言って、腕を出し、指を差します。
紫パジャマが指差す先には、二つの魔方陣が鮮やかなライトグリーンの光りを放ちながらありました。
大きさは直径1m50cmくらい――中には複雑な模様が描かれています。

「それじゃ、私が先に乗るぜ!」

そう言うと、霧雨魔理沙は何の気なしにトトッと軽やかに魔方陣へ足を踏み入れました。
パパァ!と大きく、一瞬だけ魔方陣が強い輝きが私の視界を覆います。
思わず目を覆いましたが、その次の瞬間。そこに霧雨魔理沙の姿はありませんでした・・・・・・!!
「えっ?ええっ!?」ぽかんと小さく口を開き、私は戸惑って見せます。
だって・・・・・・だって、目の前に居た霧雨魔理沙が消えてしまったんですよ!?
咲夜さんのマジックじゃなくて、本当に消えてしまったんですよ!!??

大いに戸惑っている私。余りの事に、紫パジャマの事を頭から離していたものですが、ふっと顔を横に向けると、紫パジャマの姿を見ました。
私に目を向けられた紫パジャマはちょっと面倒臭そうな――気だるそうな表情を見せると言います。
「仮想フィールドに移動しただけよ。さぁ、貴方もさっさと乗ってくれないかしら?」
気だるそうなその顔には、いつもの嫌そうなジト目が浮かびつつあります。紫色のもやしオーラ、と言いましょうか。怒って暴れるような事はしなくとも、不満をネチネチと口に出す・・・・・・そんな雰囲気を纏ったオーラ。こうなると、多分次には「これ以上、時間の無駄をしないで」とか「貴方と何時までもつきあえるほど私も暇じゃないんだけど・・・・・・」とか言い出すに違いありません。

勿論、分かっていても、そんな事を言われては気分が悪くなりますよ。なので、私とりゅうは思い切って、目の前の魔方陣――霧雨魔理沙が乗った方とは別の魔方陣へ足を踏み入れたのでした。



パッ、と一瞬、意識が飛んだと思います。
何が起こったかは分かりません。私の周り・・・・・・いえ、目の前がライトグリーンの光りでいっぱいになったと思ったら、私はりゅうと一緒に花畑に立っていたのですから。

「ここは一体・・・・・・・」

ピィピィと鳴くりゅうと共に、私はぐるりと周囲を見渡しました。左から右へ――180°見渡した所で、私の右側に小さく一人の人影が見えました。私は手を目の上辺りに構えると、その場でじーとその人影を窺います。
先程までの暗い図書館とは異なり、このお花畑は昼のような明るさに包まれ、その人影のシルエットは小さくとも割りとくっきりと良く見えます。
特徴的なとんがり帽子に左手には箒のような長いものを持っている人影・・・・・・。
そう、霧雨魔理沙。霧雨魔理沙の姿を確認する事ができたのです。

「きりさめまりさっ・・・・・・!」私は思わず駆け出します。彼女と口を聞く・・・・・・あぁ、頼るのは余り気の進む事ではないのですが、状況が状況です。今が一体どういった事になっているのか――それを確かめる必要があるのです。

ザッザッと私は地を蹴り走ります。お花を蹴散らさないよう、極力注意をして走ります。
最初は小さかった霧雨魔理沙の姿が少しずつ大きくなっていきます。手を伸ばせば、もう触れる事ができる――そんな、彼女を目前に捉えた時の事です。

「ぶおっ・・・・・・!!」私は何かにぶつかりました。
目の前の何かに思いっきりぶつかりました・・・・・・。

ふふぇ・・・・・・私はお花と緑の草が敷かれた地面へと倒れました。ずるずるバタリ。あぁ・・・・・・。
倒れながら、顔を上げてみますが、そこには何もありません。
「ピィー!」と私を心配したりゅうがすりよって来て、私の顔をペロペロと数回舐めてくれました。それで気を取り直した私は改めて前を見てみますが、やはり、そこにはぶつかるような壁は何もありませんでした。


「ふえぇ・・・・・・これは、どういうこと?」
私は鼻を擦りながら、立ち上がります。
服やスカートについた土をはたき落とし、ポケットからハンカチを出して顔を拭い、先程、ぶつかった所を目を細めてじっと見つめます。

「・・・・・・やっぱり、何もない・・・・・・」
そう呟いた所で、気付くと、霧雨魔理沙が目の前に来ていました。
霧雨魔理沙は口に手を当てて、くくくっと笑っているように見えます。
不思議とその笑い声は聞こえないのですが、やはり、その様子は気に食わないので、
わなわなと、私は霧雨魔理沙の肩辺りを掴もうと手を伸ばした時です。

だん!

「・・・・・・うん!?」

見えない何かに手が当たりました。
トントンと手を前後に動かしますが、やはり何かにぶつかります。
「ううん?」
きょとん と、私が顔の力を抜いてそれを見ていた時です。
明るいけれど、太陽のない・・・・・・空の上。何処からか声が響いてきました。

「サン、魔理沙、私よ。聞こえているかしら?」

これは紫パジャマの声です。
不意の声での登場に、どうすれば良いか分からない私でした。けれど、「聞こえてます」とそれとなく返事をしておきます。聞こえているかは分かりませんが、状況が状況です。何が何だか分からない内は、紫パジャマの言う事でも従っておいた方が良いでしょう。


「二人とも聞こえているようね。じゃあ、話を始めるわ」

どうやら聞こえていたようです。私は、はうっと息を吐きます。

「もう二人とも分かってると思うけど、その空間は中心を大きく二分した空間なの。サンと魔理沙の居る場所は見えない壁で仕切られているわ。弾幕は勿論、音さえも通さないこの空間特有の結界だから、相手の状況を覗うくらいしかできないわ」

なるほど・・・・・・だから、ぶつかるし霧雨魔理沙の笑い声も聞こえなかったのですね。
しかし、弾幕も通さないとなると、一体どのように勝負をするのでしょうか?
今までの弾幕勝負も、相手と向き合って行ったものばかりでした。このような、相手の弾幕を受ける事のないこの状況で一体どのような勝負をするのでしょうか・・・・・・?

そして、紫パジャマの説明は続きます。
by metal-animal | 2009-10-23 22:34 | 東方幻想入り小説 | Comments(4)
Commented by ネイムレス at 2009-10-23 23:24 x
こんばんは、読ませていただきました。

花映塚の戦闘方式はどうなっているのだろうと常々思っていましたが、
まさかそれを描写しようと言う発想が出る事が驚きです。私にはできない考えですね。
他人の文章を読むと発想や着眼点の違いが良く判って、それ自体楽しめたり勉強になったりしますね。
このまま実際の試合がどうなるのか、次回も楽しみにしています。

それでは、失礼しますね。
Commented by unyo-n at 2009-10-24 22:50
こんばんは、東方小説を読みました。
metal-animalさんが書いた中で一番面白かったです。
次も楽しみにまってます。
Commented by metal-animal at 2009-10-24 23:48
>ネイムレスさん
こんばんは。
花映塚も結構やっていますので、これも東方の一環、STGとしての東方の楽しさ、という事で採用したのですよ。
それでも、仰るとおりに戦闘方式など、中々に難しい所もありました。なので、完全再現・・・とまでは行かなくとも、それに近い形で見ていて(読んでいて)楽しめるルールを考えました。

後は、これを基に描くだけですが、これもまた苦労しそうです。
だから、実際に今も花映塚をプレイしながら、色々と研究をしているものですよ。趣味と実益を兼ねた・・・最高です(笑)
Commented by metal-animal at 2009-10-24 23:50
>unyo-nさん
ありがとうございます。
俺の書く小説は難しい部分が多いから、もっと多くの人が楽しく読めるように勉強しないといけないですね。これからも頑張ります、うん。
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