東方小説 5章その5

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします






レミリアお嬢様の広間へと着きました。
私と咲夜さんは扉をくぐり、レミリアお嬢様の前へ出ます。レミリアお嬢様は玉座に足と手を組んで、何だか不機嫌そうに眉を動かすと、すっと小さな口を開きました。

「遅いわよ。二人とも。待ちくたびれたわ」
腕を解いて右手で頬杖をつきます。目は上目遣いです。
そんなレミリアお嬢様のすぐ横。瞬時に移動していた咲夜さんは、いつの間にか手にしたトレーからティーカップを降ろすとレミリアお嬢様に手渡しました。

「申し訳ありません。お嬢様。それもこれも、サンが愚図愚図していたのが悪いのです。私はお嬢様を待たせないよう、手早く参上するつもりでしたのけれど・・・・・・」

・・・・・・ええっ!?ちょっと咲夜さん!
確かに私は愚図愚図していたけれど、それをここで言う事はないじゃないですか!
私は顔を青くして咲夜さんへ目をやります。そんな咲夜さんの隣には、レミリアお嬢様の赤く鋭い視線が私へ向けられているのをヒシヒシと感じています。「怖い」などと言うなと言われましたが、これは本当に怖いですよ・・・・・・本当に。



「・・・・・・って、咲夜。あんまり意地悪言っちゃ駄目でしょ?」


不意に私へ向けられていた鋭いナイフのような視線が緩やかな流れ弾となります。
すうっとそれは私の横を通り過ぎて行くと、レミリアお嬢様は呆れたような顔で咲夜さんへ目をやります。
いえいえ、とすました顔でトレーを持っていない方の手を前に出すと咲夜さんは言いました。

「そうは言っても、最初に意地悪を言ったのはお嬢様の方ですわ。私の力を考えても遅いなんて事はない――それを分かってらっしゃるのに」

「・・・・・・」

「・・・・・・ま、それもそうね。今度はもっと上手くやらなきゃ駄目かしらね」

「・・・・・・・・・・・・」

レミリアお嬢様と咲夜さんのキワ。ころころと変化する状況に、正直、ついていけていない私でしたが、二人の掛け合いには何処か羨ましさのようなものを感じていました。それについて、今はゆっくりと考えている暇はありません。レミリアお嬢様は咲夜さんから、正面に立っている私へと視線を移すと言いました。

「それはそうと、サン。修行の方は頑張ってるみたいだけど、どう?霊夢との勝負は勝てそうかしら?」


ごくり、とつばを飲みます。ここまでストレートに――いきなりこれについての話とは・・・・・・流石はレミリアお嬢様です。先程の咲夜さんの言葉からすれば『弱いのは大嫌い』との話ですから、ここは嘘でも「勝ちます」と言うべきでしょう・・・・・・しかし――


「正直に、勝てるかどうかは分かりません」


ピクリ、とレミリアお嬢様の眉が動き、目つきが少しばかり鋭さを持ちます。こころなしか、周囲に赤い霧のように――殺気が立ち込めているようにも感じられました。
そんなレミリアお嬢様のすぐ隣。この殺気を直に感じているだろう咲夜さんは何の反応もせず、すました顔で私を見ています。そして、私は続けます。

「でも、私はレミリアお嬢様の為に、たとえこの体が動かなくなっても、最後まで勝つ為に戦います・・・・・・」

私の想い。本当の気持ち。
それはレミリアお嬢様の為に嘘でも『勝つ』と言う事ではないのです。
そう、あの日から、私はレミリアお嬢様を愛し、全てを捧げる一心で頑張ってきたのですから。
めいりんししょうにも、椛さんにも勝てなかった私が、今更こんな事を言うのも恥ずかしいものです。でも、今度ばかりは、レミリアお嬢様の為に、そして自分の気持ちの為に、体を張らなければならないのです。


「ふん、なるほどね。60点って所かしら。咲夜はどう?」
「そうですわね。私なら40点ですわ。気持ち評価といった所ですわ」

「・・・・・・・・・・・・」
二人合わせて100点にはなります。二人合わせて200点でしょうけど・・・・・・。
というか、私一人、シリアスに博麗霊夢との勝負について話考えているのに、レミリアお嬢様と咲夜さんは蚊帳の外といった感じがします・・・・・・。いえ、蚊帳の外に居るのは私の方なんですけどね。
それにしても、点数が低いです。レミリアお嬢様にしては60点は高い方かもしれないですが、アドバイスをしてくれた咲夜さんが気持ち評価40点とは厳しいです。
私は少しばかり俯きます。疎外感というか情けなさ、そんなブルーな気持ちが私を染めていくのです。


「ちょっと、サン。しょげてないで顔を上げなさい」
レミリアお嬢様が私を一喝しました。
「・・・・・・はい」
私は小さく返事をしました。レミリアお嬢様は呆れながらに言いました。
「いくら私が500点満点で60点だからって、そんなにしょげる事はないわよ?500年生きてきて、私が60点なんて点数を付けた人間なんてそんなにいない。殆どが0点以前の点数を付ける価値のない人間。だから、貴方は結構頑張っているわよ。流石、私が見込んだだけの事はあるわ」
レミリアお嬢様はにこりと微笑みました。私には、その言葉がどんな言葉より心に響き嬉しく感じました。
塞ぎ込まれた真っ暗な部屋、突如としてその部屋の天井が外され、そこから太陽の光りが降り注ぐような――いえ、レミリアお嬢様は決して太陽ではありませんね。私の暗い心の部屋を照らしたのは夜を君臨する月の光・・・・・・。


「レミリアお嬢様・・・・・・私は」

「それ以上は、今は言っては駄目よ。それは全てが終わってから聞くわ。それよりも、貴方が霊夢との勝負に勝ったら何かご褒美をあげないとね。サン、何か欲しいものはある?何でも良いから言ってみなさい」

「・・・・・・・・・・・・はい」
私が欲しいもの。私がずっと欲しかったもの――それは――
今一度、顔を上げて、私はゆっくりと口を開きます。



「私は・・・・・・みんなと一緒に過ごしたい・・・・・・です。レミリアお嬢様に咲夜さん、めいりんししょうにパチュリーさん。みんなで一緒の楽しい時を過ごしたいです」

「それは、みんなでピクニック、という事かしらね」
レミリアお嬢様がそう言うと、私は頷きます。

「分かったわ。それなら春にお花見ね。良いわね、咲夜?」

「そうですわね。春のお花見はいつもやっていますけど、『皆で』というのはありませんでしたわ。何だか私も楽しみになってきましたわ。サンには何としても勝って貰わないといけませんわね」

「そうそう、あくまでこれはご褒美なんだから、サンが負けたらやらないわよ?やったとしてもサンはお留守番だわ」

既にお花見の事を思い浮かべているのでしょうか。レミリアお嬢様は楽しそうに笑っています。
私もお花見を楽しみにしたいものですが、そうは言ってはいられません。
私がずっと欲しかったレミリアお嬢様や咲夜さん・・・・・・それにめいりんししょうや紫パジャマ、みんなと過ごす楽しい時間。
その為に私は――今までの修行の日々や弾幕勝負の経験で得た全ての力を使って、博麗霊夢との弾幕勝負に勝たなければならないのです。
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by metal-animal | 2009-11-13 22:07 | 東方幻想入り小説 | Comments(5)
Commented by 兎と亀マスク at 2009-11-14 00:18 x
metal-animalさんお久しぶりです。

花映塚形式練習の後もまだまだ修行が続くのかと思いきや、一気に霊夢との対戦まで話が進んでいてびっくりです。まだまだ幻想郷住民でサンがまだ会っていない人妖も多いし、まだしばらくは修行シーンが続くのかと思っていました。

尊敬するレミリアを前にしても、変に虚勢を張って「絶対に勝ちます!」とか言わないで「勝てるかどうか分かりません」と正直に言うあたりはすごくサンらしいなぁと思いました。
自信満々なわけでもなく、やや自信なさげ、でもレミリアへの敬愛の心と、レミリアのために役に立ちたい!と願い、そのために頑張る真っ直ぐなところは、サンのすごく魅力的なところですね。

60点、40点、合わせて100点~のあたりの掛け合いがなんだか面白いです。レミリアは500点満点のつもりで言っていたのか!!基準が高すぎます(汗)。もしレミリアが霊夢や魔理沙に点数をつけたらどの程度になるのか気になりますね。
Commented by 兎と亀マスク at 2009-11-14 00:19 x
サンがもし勝負に勝ったときの願いは、咲夜みたいに常にレミリアの傍に居られるように、という感じの願いかなーと思ったのですが、なんだかずいぶん謙虚な願いですね。でも変に欲張った願いじゃないあたりもサンらしいなーと思います。

サンは心の中で常にパチェのことを「紫パジャマ」と呼んでいるので、言葉の上でも「パチュリーさん」と呼んでいるのは違和感ありますねw

サンの勝利を祈っています~。
Commented by ネイムレス at 2009-11-14 01:29 x
どうも、読ませていただきました。
相変わらず使われている言葉や、言の運び、表現が興味深く面白いですね。
これぞmetal-animalさんの文であると見せ付けられます。

物語の方はもう直ぐ山場ですね。やはりこの試合を如何に料理するかが気になるところ。
霊夢らしい霊夢を描かれるとの事でしたので、サンもきっとサンらしくある戦いを見せてくれると思っております。

餃子……。玉座?

それではこの辺で、失礼しますね。
Commented by metal-animal at 2009-11-14 23:05
>兎と亀マスクさん
お久しぶりです。コメントは付けてませんが、毎日更新を楽しみさせてもらっています、うん。

>修行のこと
修行編は4章までとしています。
この物語も一応決まったラストへと向かって進めているので、余り途中が長すぎると読む方も書く方もダレてしまいます^^;
それでも、花映塚方式の練習編というのは入れても良かったかなぁと思うの部分はありますね。

>サンの願いのこと
レミリア&咲夜というのは東方をやっている人なら誰でも認める主従です(ですよね?)だから、物語を描いているサンにしても、自然とそういった認識をもってしまうのです。まぁ、それと気にするほどの事ではないですが、この事に関しては少し意味を持たせてあります、うん。

最後に、紫パジャマの件は空気を読んでの事です(笑)
少しでも「紫パ・・・パチュリーさん」と書こうかなと思いましたが、思い留まりましたw思えば「様」の方が良かったかなぁ・・・なんて。
Commented by metal-animal at 2009-11-14 23:20
>ネイムレスさん
激励ありがとうございます。
この言葉のお陰でもっともっと頑張れます、うん。

最近はリアルでちょっと忙しくて、執筆の方が思うように進んでいませんが、書く事はできなくとも展開をどう進めて行くかは常々考えています。筋道や新しいアイディア・・・それらが浮かぶとすぐにそれに沿おうとしてしまいがちですが、やっぱりそれだけでは濃厚な展開は描けないですよ。それを考えた上で、どう肉を付けて行くか・・・それが重要だと思います。今はどれくらいまで肉が付いて形になっているかは分かりませんが、俺も読者も納得できるような勝負を描いて行きたいです。


そしてチャオズ(餃子)は誤字ですorz 修正しました。
「ぎょくざ」と打ったつもりが「ぎょうざ」とは、ちびまるこちゃんの書初めの回の誤字より間抜け過ぎますね(笑)
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