東方小説 5章その6

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします






太陽が沈み、夕闇に染まりつつある幻想郷。
その幻想郷にある大きな湖。その島中に立っている紅魔館は静まりつつある夜の音を一挙に集めたように、わいわいと賑わいを見せています。

普段は決して館の者以外は通さないめいりんししょうと紅魔館の門も、今日ばかりは招待状を持った客人を次々と通していきます。霧雨魔理沙から射命丸文さんなどの見知った顔の方々にウサギの耳を付けた人を引き連れた髪の長い和風な方、それに、奇妙な服装をした3人組などなど、実に色々な・・・・・・いえ、多種多様な方々が門をくぐって行くものです。
きっと、この方々もレミリアお嬢様とお知り合いなのでしょう。どういった経緯を経て、どんな風に知り合ったのか――その方々の風貌を見ながら想像してみますが、全然、見当もつきません。あったのは戦いでしょうかね、それとも遭遇なのでしょうか。本当に興味が尽きません。

そんな事を考え、胸を躍らせていると多くの人影の中に特に目を惹く人影がありました。
今しがた門をくぐって入ってきた――あの三角巾の人。
ゆったりとした帽子にゆったりとした着物を着た綺麗で優しそうな人です。
館内の窓から遠目に見ているだけなのに、妖しい雰囲気というか――何か冷たいものを感じてしょうがありません。あんなに綺麗で優しそうな人なのに――これは一体何なのでしょうか。

不思議に思いつつ、見惚れるようにその人へ視線を送り続けます。すると――


ひらひら。


蝶のように揺れる細い腕。そして、にこりとしただけの柔らかい笑顔。

「・・・・・・っ!?」

思わず、私は窓と窓の間へ――外からは見えない壁の部分へと、反射的に、さっと隠れてしまいました。
恐らくは、見られている事に気付いて手を振っただけなのでしょう。しかし、それに感じた寒気と言いましょうか・・・・・・ゾクッとする強烈な悪寒は一瞬にして私の本能に危険を知らせたのです。
特に『気』も出していないしそれらしいものは脅威も何も感じません――それに、これだけあの人から離れているのです。それなのに、今の凍りつくような寒気・・・・・・あれは一体何だったのでしょうか・・・・・・?
思わず、私は恐る恐る窓の枠へと顔を覗かせ、再び外を覗いてみます。

「・・・・・・・・・・・・うん?」

あの三角巾の人は、未だに館の入り口の辺りで、指をくわえながらこちらを見ていました。
そして、私の姿を確認したのか、綺麗な顔が、ぱぁっと明るくなり、今度は大きく手を振っているのが見えます。しかし、それも束の間です。近くに居るもう一人の人。緑色の服に2本の鞘を携えたその人物があの三角巾の方に何やら注意を始めたのです。注意の内容までは分かりませんが、手を前に広げ困ったようにしています。

少しして、話に決着がついたのか、三角巾の人がポンと手を叩きます。そして、そのまま刀を携えた方の服を掴むとずるずると引きずるようにエントランスの方へ入っていきました。

何がどうなったのか私には分かりませんが、あの三角巾の人達が館へ入っていった頃から、お客さんの入場が途絶えてきたようです。門の辺りに居る方々の姿も少なくなり、その方々も一人また一人とエントランスの方へ移動して行くのが見て取れます。

・・・・・・さて、私も何時までもこんな所で油を売っている場合じゃないですね。
会場の様子を見ながら、ちょっと手伝いをしにいかなければ。


                              ※

幽々子と妖夢

「もう。幽々子様ぁ、こんな大勢の居る所で指なんかくわえないで下さい!」
「違うのよ、妖夢。ほら、あそこ。あそこにね、可愛い子が居るのよ」

「うん?何処ですか?あそこには誰も居ませんけど・・・・・・」
「ああっ、もう。妖夢が驚かすから隠れてしまったわ。人を驚かすのはお化けや妖怪の仕事よ。妖夢のすることじゃないわ」
「もっともらしい事を言って私のせいにしないで下さい」
「ああっ、ほら、ほら妖夢!また顔を出してくれたわ!本当に可愛らしいわぁ」
「はいはい。そんなに気に入ったなら、中で直接会えば良いじゃないですか」

「あ、それもそうね。ささっ、妖夢。こんな所で油なんか売ってないでさっさとお邪魔するわよ」
「油を売ってたのは幽々子様の・・・・・・って、自分で歩けますから、そんなにぐいぐいと引っ張らないで下さいよぅ!」
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by metal-animal | 2009-11-27 16:32 | 東方幻想入り小説 | Comments(5)
Commented by ネイムレス at 2009-11-27 22:30 x
どうも、読ませていただきました。

たったこれだけの出番であると言うのに、圧倒的な存在感を見せてくれました幽々子様。流石白玉楼組のコントは魅力が溢れていますね。
私の方でも結構好き勝手やっていただいて、筆が勝手に踊るように文が進んだものです。
今回は短いながらも閑話休題的なショートエピソードとして楽しめました。いきなり本番に持っていくかと思っていたので、これは嬉しい驚きですね。

ところで、幽々子様の服は着物なのでしょうか着物に似せた洋服なのでしょうか。フリルたっぷりであるのに作りは着物の様に見えるし、なんとも判別不能です。
よろしければご意見を一つ。

それでは今回はこれにて、失礼します。
Commented by 兎と亀マスク at 2009-11-28 01:07 x
幽々子がどういった理由でサンに向けて手を振ったりしたのかは読者の想像に委ねる展開かと思いきや、最後にまとめて幽々子&妖夢の会話部分だけを載せて、そこで初めて幽々子側の意図が判明する、という凝った展開がまず良いなぁと思いました。

二次創作でよくある大食らい設定の幽々子なら、「食べたい」という理由でサンに目をつけたりしそうですが、この話の幽々子は純粋に可愛いもの好きなのですね。しかし手を振っただけでうっかり「死に誘う能力」の片鱗を見せてしまう幽々子様、恐ろしい人!

サンはサンで、こういう未知の力に対する反応というか勘はすごく鋭いですね。そういう部分を伸ばせば戦闘でももっと活躍できるかも!?

やっぱり幻想郷で人妖が多く集まる場所、といったら紅魔館ですよね。大勢が集まってきてワイワイと賑やかになってきている冒頭のシーンはそれだけでなんだかワクワクしてきます。
Commented by 兎と亀マスク at 2009-11-28 01:07 x
奇妙な服装をした3人組、というのは誰なのでしょう。3人組というとプリズムリバー三姉妹や三月精、守矢一家や八雲一家を思い浮かべますが、基本的に東方キャラは皆奇妙かつ奇抜な服装をしている人達が多い気がするので、特定しづらいですw 一番奇妙そうな格好ということで、八雲一家の3人あたりかな?

いざ当日になっても緊張したりせずけっこう落ち着いている感じのサン。これならいけそう……かな?
それではまた読みにきます~。
Commented by metal-animal at 2009-11-29 22:27
>ネイムレスさん
今回は繋ぎ目という事で、短めながらも、東方を感じられるような所を描いてみました。その中で、幽々子の存在感を感じられたというのなら、とても嬉しい事ですよ。

個人的に幽々子の服装については主観ですね。
他のキャラクターにしてもそうですけど、自分がそう思ったこと以外でそれを表現するのは難しいと思うんです。幽々子の服にしても、(俺としては)着物以外で表現しろと言われたら悩みますから(笑)

語呂や服について色々と知識があれば、それも可能ですが、どうにも服装には疎いものでして・・・勉強不足ですね、ハハハ。
Commented by metal-animal at 2009-11-29 22:37
>兎と亀マスク さん
二次創作などで見る幽々子は、ほのぼのとした優しい女性なイメージが強いものですが、能力や背景を見ても決してそういったイメージじゃないんですね。『死を操る程度の能力』、それに弾幕に見るようなあの亡霊としての側面。普段、普通の人間との絡みがないだけに、霊夢や魔理沙、それに咲夜のような強い人間じゃないサンから見た幽々子というのは、見ただけで死の世界に吸い込まれるような・・・そんな感覚があるんじゃないかと思うのですよ。

それと3人組については、当初は変装した三月精をイメージしていたものですが、今思うと八雲一家や洩矢一家でも良いような・・・そんな感じがします。もうちょっと詳しく書いて特定できるようにすれば良かったかな・・・とも思いましたが、まぁ、今はこれで良いと思いますよ、うん。
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