東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。 特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、 そこの所を宜しくお願いします。 そうして、入り口の方でぼんやりと会場の方を眺めていると、 不意にポンと肩を叩かれました。 うん?何だろう フッと私は顔を動かしてそれを見ます。 すぅと顔を動かして見えてきたもの――それは銀色の髪に青と白の見慣れたメイド服、 そう、咲夜さんでしたよ。 ある程度、私に近づく人には『気』や気配で分かるものなのですが、 いやはや、さすが咲夜さんですね・・・・・・全く気付けませんでした。 まるでいきなりそこに現れた様に――って、そういう人なんですけどね。 「そろそろ来てくれるかしら?」 咲夜さんはそう呟きました。 はい、と軽く返事をすると、咲夜さんはくるっと私に背を向けるとすたすたと歩き、 会場を出て行きます。 私も、咲夜さんに後ろに付いて、会場を後にしましょう。 割と平静に居られた私ですが、咲夜さんが声を掛けた事・・・そして、何処かに案内されるに従い、少しずつ――ほつほつと緊張の念が沸いてまいりました。 とくんとくん と心臓は静かに鳴っています。しかし、顔元に力を入れているのが自分でも分かるのです。 目の辺りに気を入れて、口はきゅっと縛ってる。 何時になく戦闘モードな私ですね・・・きっと、これなら、さっきの咲夜さんにも気付けたかもしれないですね。ああっ、でも無理かもしれないなぁ。 そんな事を考えながら、1分ほど歩いた所で、咲夜さんの足が止まりました。 咲夜さんの前には両開きの大きな扉があります。 ここは・・・・・・確か皆で会議をしたり食事が出来るような大きなテーブルの置かれた広い部屋だったと思います。 その部屋の扉を咲夜さんはトントンとノックします。 すると間も無く「入って」という声が部屋の中から聞こえました。 これはレミリアお嬢様の声ですね。見ずとも分かりますよ、私は。 そうして、咲夜さんが扉を開きます。 部屋の中には思ったとおりにレミリアお嬢様がいらっしゃって・・・・・・と、もう一人? はっと一度私は目を大きくして驚きます。そして、ちらっと――その見慣れない・・・・・・というより見た事のない人へ目をやります。 何というか赤と白の巫女っぽい人。うん、巫女っぽい人です。 そんな巫女っぽい人が、テーブルを挟んで、レミリアお嬢様と向き合って座っています。 机の上には何故か湯呑みが載っています。これは紅魔館には置いてなかったものですよ? レミリアお嬢様の前には何時もの見慣れたティーカップが置いてあるものですけれど・・・・・・。 私は唖然としながら、その赤と白の巫女っぽい人を物珍しげに見詰めました。 その姿はとても特徴的で、さっき会場で見てきたどの人よりも、目に付くと思います。 そして、相手の巫女っぽい人も私の事に気付いたらしく、私の事をまじまじと見た上で、 はぁ・・・・・・と一つ息を吐いた後で言いました。 「あれがあんたの言ってた・・・・・・あぁ、終夜さんだっけ?あんたに心酔してここで働いてるって話だから、どうせロクでもない奴だとばかり思ってたけど・・・・・・案外普通ね。咲夜みたいな尖がった感じもないし、パチュリーみたいな暗さもない、それにあんたの妹みたいな乱暴者でもなさそうだし、本当、あんたに似つかわしくないわね」 「・・・・・・ッ!?」 私は思わず、むっと顔に力を入れました。見ず知らずの初めて会った巫女っぽい人にそんな事を言われるとは全く思っていませんでしたから。 それにレミリアお嬢様を『あんた』呼ばわり――あの巫女っぽい人は一体何様・・・・・・いや、何者なんでしょうか!? 私がそれとなく、シャー!と威嚇をしている猫のような、そんな気を発していると、その巫女っぽい人の発言に対して怒っている様子もなく、レミリアお嬢様が言いました。 「確かに、私には似つかわしくないわね。入れるならもっともっと強い奴を入れるもの」 レミリアお嬢様はテーブルに置いてあるティーカップを手に取り、その小さな口につけます。そして、ティーカップを口から放すと「でもね・・・・・・」と呟き、そして続けました。 「サンは強くなったわ。自分で運命と向き合って、切り開いて、強くなったの。私を満足させるにはまだまだ程遠いけど、絶対に私に似つかわしくなるんだから」 カタッと音を立てて、ティーカップをテーブルに置きます。その表情は得意気で――プライドとカリスマに満ち溢れた本当の・・・・・・本物の吸血鬼レミリアお嬢様。 そんなレミリアお嬢様に続いて、私の隣に・・・・・・いなくなって、いつの間にかレミリアお嬢様の隣へ瞬間移動している咲夜さんが言いました。 「そうです。レミリアお嬢様の仰るとおりです。サンはドジで間抜けで、とっても瀟洒とは程遠いですけど、もう立派に紅魔館の一員ですわ。これからも、ずっとレミリアお嬢様の為、紅魔館の為に精一杯仕えてくれる事でしょう」 咲夜さんは、レミリアお嬢様のティーカップをトレーに載せると、ふふっと小さく笑って、こちらを見ました。 レミリアお嬢様に咲夜さん。 二人の想いは痛いほど、私の心へと届きました・・・・・・。 (本当に痛い所もありましたけど) そして、二人の話を聞いていた巫女っぽい人は、何だか罰の悪そうに、一つ溜息を吐きます。 「はぁ・・・・・・それこそ、あんたらに似つかわしくないわよ。大体、何か私が悪者みたいじゃない。今日はわざわざ胸を貸しに来てあげたんだから、もうちょっと気持ちよく歓迎してくれても良いと思うわ。私も暇じゃないんだから」 そう腕を組んで、何だか不機嫌そうに言いました。
by metal-animal
| 2009-12-12 23:22
| 東方幻想入り小説
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Comments(2)
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兎と亀マスク
at 2009-12-21 22:31
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>本当に痛い所もありましたけど
ここが笑えましたw レミリアと咲夜、サンのことを褒めつつ、けなしてもいて、いつどこでツッコミが入るのかなーと思っていたらサン自身がツッコミ入れていて、なんだかホッとしましたw それにしてもレミリアはサンに対して意地の悪いことを言いつつもしっかり信頼している旨のことを言っていて、サンも自分の敬愛している人から直接言葉で言ってもらえたらめちゃくちゃ嬉しいんだろうなぁ……とか感じてしまいました。 うーん、やっぱりサンには頑張って、霊夢に勝ってもらいたいですね~。
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metal-animal at 2009-12-22 22:23
>兎と亀マスクさん
こういった会話は今までも何回か書いてきたと思ったので、くどかったかなぁと思う部分もありますが、やっぱり最終決戦前だとこういった会話を書きたくなってしまいます。 某歌詞にもありますように、厳しい人が見せる優しさというのは、どんな困難も乗越えるほどのエネルギーになるものですよ。 まぁ、だからと言って勝てるかは分からないものですが、きっと面白い勝負は出来ると思います、うん。
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