東方projectの二次創作小説です。
このSSはかなり力を抜いて作ったものなので、それに伴って読む場合も力を抜いて読んで下さい。感じ的には二次創作の同人誌のような感じです。時系列や設定などは無視のアンソロジー的な……というより、そもそもショートストーリーになりますので、どうぞ宜しくお願いします。 また、こういったものが苦手な方はどうぞ東方小説の方を読んで下さい、なんて宣伝してみるテスト。 「さぁ、今日は待ちに待ったクリスマスだ!」 雪がしんしんと降る中でりんのすけさん――あぁ、こーりんサンタはそう言ったの。 「あたいも今日が楽しみで楽しみでしょうがなかったんだ!だって、今日はタダで欲しいものがもらえる日なんでしょ?あたいが欲しいのはねぇ……」 手を胸の前に組んでとってもにこにこ楽しそうにしてるチルノちゃん。その様子はとっても微笑ましいんだけど、残念、今日はクリスマスプレゼントを配る側なんだよね。 「えぇ!?それじゃあ、あたいと大ちゃんは何も貰えないの!?」 チルノちゃんはがっくりと肩を落として項垂れてる。そこを空かさず、こーりんサンタが慰めた。 「大丈夫、このクリスマスプレゼントを配る程度の能力を持ったこーりんサンタは、どんな子供にもプレゼントを配るよ。勿論、君達だって例外じゃないさ」 え?そうだったんだ。てっきり私は幻想郷のサンタの正体を知ってしまったばかりにプレゼントは貰えないとばかり思ったんだけど、そんな事はないんだね。ちょっと嬉しくなってきたよ。 「いやぁ、でも今回企画してたクリスマス大作戦が君達にバレてしまった時は本当に焦ったよ。これが広められちゃうと面白味がなくなっちゃうからね」 そう。私とチルノちゃんがこーりんサンタの大作戦を知ってしまったのは1週間前のこと。私達が偶然、香霖堂であるものを見つけてしまったのが原因で―― 「でも変な話だよね。あの巫女の紅白服がサンタの衣装なんてさ」 「あぁ、僕も始めは驚いたものだけど、話の中に聞くサンタという人物は、何でも赤と白の服を着ながらプレゼントを配っていたというからね……。だから、幻想郷でサンタの服といえば、間違いなくこの服だよ」 そう言うと、こーりんサンタはスカートの裾をつまんで見せた。 うーん、どちらかというとサンタより巫女の変装だと思うんだけど……まぁいいのかな。 「さて、こんな所で油を売っていると夜が明けてしまうよ。夜が明けたら残機に関係なくゲームオーバーになってしまう。早速だけど、紅魔館へ向かおう」 そう言うと、私とチルノちゃんはこーりんサンタを戦闘に紅魔館へ向かったのでした。 ※ 空を飛べないこーりんサンタを持ち上げながら、私達は何とか紅魔館へとやってきたのです。 目の前には青白い寒空の下に不気味に佇む紅魔館――赤い壁も今日ばかりは雪でちょっぴり白くなってる。このまま雪で真っ白になったら白魔館になるのかな。 それはそれとして、私にはちょっと気になる事が…… 「もしあたい達がいなかったら、こーりんはどうするつもりだったの?」 あっ、私が気になっていた事をチルノちゃんが聞いてくれた。 聞いちゃダメな事だと思って敢えて聞かなかったんだけど、どうなんだろう? 「あぁ、それはね……」 一体どんな答えが返ってくるんだろう……どきどき。 「湖に右足を入れた時にその足が沈む前に左足を前に出すんだよ。そしたら次は、左足が沈む前に右足を前に出すんだ。これを繰り返せば湖を越える事ができるだろう」 「…………」 そんな事が出来るなら、人間は誰だって空を走りながら飛んでるんじゃ…… いくら私達が子供みたいだからって、そんな嘘に引っ掛かる分けないよね。 ねっ、チルノちゃん。 「すっ、すごい……あたいは飛べるからそんな事考えた事も無かったけど、確かにそれだと湖を渡れるじゃん!!」 チルノちゃん……。 ※ 「さぁ、そんなこんなの内に紅魔館の前へ着いたよ。まずは第一関門『紅魔館の門』だ」 目の前に見えるのは高い塀に囲まれた立派な門。 何でも塀の上には結界が張ってあって入れないって話。それでも何人か入ろうとした子達はみんなアレで一回休みになってるんだって。だから、入るには門の正面から入るしかないんだけど……って、あれ? 「ぐーぐー」 もんばんさんは寝てる?……のかな。 両足を投げ出して塀にもたれ掛かって寝ているね――あっ、ちゃっかり隣には大きな靴下が置いてあるっ!靴下はサンタがプレゼントを入れる為のものだっていうのは私達の間でも有名な話しだし、やっぱりもんばんさんもプレゼントが欲しいんだなぁ。 「うん、さっそく僕の出番のようだね。彼女は中国っぽいという話だからこの……」 担いでいる大きな袋に手を突っ込んで、もぞもぞと動かしてるこーりんサンタ。ぱっとふくろから手を出すと、その手に握られているのは―― 「この中国っぽい書物をあげよう!」 うわっ、何か微妙な女の人が描かれてる本が出てきたよっ! えっ……えーと、鈴村ハノレヒの鬱屈? 何か絵とか……何とも言えない微妙さが残念過ぎて何だか悲しい。 「さぁ、もんばんへのプレゼントもめでたく完了だ!次はいよいよ紅魔館の中、楽しくなってきたぞぉ!!」 「あたいもあの家の中に入るのは初めてだよ!どんな所なんだろうなぁ」 最初のプレゼントを配れた事が嬉しいみたいで、二人とも、ぴょんぴょんと門をくぐって行っちゃった……。 って、もうあんな所に! 「あー、おいてかないでよー!」 私は微妙な本と一緒に幸せそうに寝ているもんばんさんを後にして、紅魔館の入り口へ――二人のもとへ走ったのでした。
by metal-animal
| 2009-12-24 23:21
| 東方短編小説
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Comments(4)
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ネイムレス
at 2009-12-25 04:16
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どうもー、読ませていただきました。
あー、こーりんってこっちの野生のこーりんだったんですね。 てっきり知的なほうの霖之助さんなのかと思っていました。 これは館の中も凄い事になりそうで、プレゼントの内容も気になります。 チルノが紅魔館に入ったことがないと言うことは、儚月抄の前のお話なのかな? そんな事を邪推しつつ、後編も楽しみにしていますね。
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yas
at 2009-12-25 22:39
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お久しぶりです。小説読ませていただきました。
微笑ましいですねwww 東方香霖堂のキャラでは無いのは彼がこーりんだからですか。 あと、セリフ以外の絵本のような文章が、この作風とマッチしてますねw 参考にさせていただきます。
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metal-animal at 2009-12-25 23:47
>ネイムレスさん
個人的に霖之助とこーりんは分けています( 本来、自分はこういったお話を漫画で書きたかったもので、絵の勉強をしたり、サークル作って自分の漫画を出すぞ!と意気込んでいました。結局、漫画にはなりませんでしたけど、こういった形で自分のネタを表現できたというのはとても幸せな事だと思いますね、うん。
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metal-animal at 2009-12-26 00:06
>yasさん
お久しぶりです。 パソコンの事など色々と大変そうですが、とりあえず、ランクインおめでとうございますwPixivではイラストを描いてもらったりとか本当に羨ましいですよ。自分もそうありたいものですが、変にプレッシャーが掛かってビクビクになってしまうと思います(笑) 作風に関しては、色々と難しい大ちゃん視点を終始やっているので、そう言って貰えると本当に嬉しいですよ、うん。
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