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東方SS こーりんのクリスマス大作戦 後編

東方projectの二次創作小説です。
独自設定や二次設定やギャグが多々あります。
こういったものが苦手な方は、無理に見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。

ちなみに、このSSのこーりんは『こーりん』であり、公式の森近 霖之助とはかなり違います。
どれくらい違うかというと、ピッピ穴久保ピッピくらい違います。ギエピー!
個人的に二次に多いギャグ的な森近 霖之助は『こーりん』と認識してます、うん。





真っ暗で静まり返った紅魔館の中。
今回は聖夜とかで夜行性の吸血鬼も寝てるんだってこーりんサンタは言ってたけど……
それでも、窓から差す夜の明かりだけが照らす紅魔館の中はやっぱり怖いよぅ。

「こーりん、本当にすごいなぁ。あの入り口のカギをひょろひょろした枝であけちゃうなんてさ」
「あぁ、あれは針金と言ってね。物と物を固定したり、カギを開けたり、色々な事が出来る優れものなんだ。何でもこれを使ってカギを開けるスペルを解除『ピッキング』というらしい。どんなカギでも開けられるなんて素晴らしいものだね」

そんな話をしながら向かったのは地下にある図書館。
こーりんサンタの話では、ここには紫色の魔女とその従者がいるらしいんだけど……
図書館のドアをギィと開いて、(今更だけど)音を立てないように抜き足差し足で進んでいくと――

(あっ……寝てる!)

不自然に開けた場所に置かれたベッド。
その上に例の紫色の魔女とその従者の二人が寝ているのが見える。

どっ、どうしてこんな所にベッドが……?

私が唖然としていると(おーい、大ちゃん!)とチルノちゃんが手を振った。
なぁに?チルノちゃん。私が歩み寄ると、チルノちゃんは1冊の本を持ってた。
うーん、これは日記……?あっ、小悪魔って名前が付いてる。これ小悪魔さんの日記なんだね。
チルノちゃんがパラパラと日記を開いたので、私もそれを覗き込んでみたの。
一番最後の12月24日の日記、そこんはこう書いてあった。


12月24日
唐突にレミリアお嬢様が今日の夜は寝ているようにと命令を出されました。
何でも今日は山田さんという人がプレゼントを置いて行ってくれる日だとか……。
当初はその山田さんを捕獲してプレゼントを独り占めしてやろうという思惑もあったそうなのですが、それは咲夜さんとパチュリー様が止めて事なきを得ました。

それにしても、本当に山田さんは紅魔館にも来てくれるのでしょうか。
もし来てくれるなら、私は新しいネクタイが欲しいな、なんて。


――なるほど、こんな所にベッドを置いて寝ているのはこういう訳だったんだ……。
うんうんと頷きながら、小悪魔さんの日記を見ていると、ずずいっとこーりんサンタが割り込んできた。
「成る程、彼女は新しいネクタイが欲しいのか……ならコレだっ!!」
そう言って袋から出したのは赤色の紙に包装された縦長の箱。
「これはこーりん堂オリジナルの褌(ふんどし)型のネクタイだ。残念ながら僕の服装の都合上、何時もネクタイは巻けないんだけどね」

……最悪だ。見た目は立派で何が入ってるのか楽しみな感じなのに、いざ中身が褌型のネクタイなんて……。

「この褌型のネクタイは後5個あるんだけど、君達も欲しいかい?」
「いえ……いらないです」
「あ……あたいも」

そうかぁ……それは残念。とこーりんサンタは一つ息を吐くと、隣で眠っている紫の……あぁ、パチュリーさんにさっきの箱より少しばかり小さい箱を置いたの。


「さぁ、これで完了だ。次へ向かおう」
それを合図にこそこそと図書館を後にする私達。
その時に、パチュリーさんへのプレゼントについて聞いてみたんだけど、中身はメガネなんだって。
それで(へぇ、案外普通だなぁ)とか思ったんだけど――

「ただし、☆型のメガネなんだ」

って、笑って言ってた。
☆型なら、あの☆が好きな魔法使いにあげれば良いのに……。


                   ※

それから私達は、紅魔館の至る所を回ってはガッカリなプレゼントを置いていった。

「彼女はナイーブを大量に使って大変らしいから、替えのナイーブだ」
ナイーブ?ナイフじゃなくてナイーブなの!?
しかも詰替え用ばかりで本体が1本もないよ……はぁ。



「レミリアお嬢様はカリスマが無くて困ってるらしいから、この『カリスマが出る飴』をあげよう」
なんと如何わしい……。
「あっ、あたいもカリスマ欲しいなぁ。……それ、あたいにも一つちょうだい!」
チッ、チルノちゃん、それを食べちゃ――
「あぁ良いよ。それ、一つあげよう」

「アイアム チルノゥ!ベリーストロベリーフェアリー!!アイム ベリーキューブ」


                   ※


「あぁ、可愛い可愛いフランちゃん。君にはとびきりレアなプレゼントを用意したよ」
……何か妹の吸血鬼だけ、やたら力が入ってるような……。
とびきりレアなプレゼントって言っても、どうせとびきりガッカリなプレゼントなんだろうなぁ。ご愁傷様、フランちゃん。
ごそごそと袋を漁るこーりんサンタ。やっとの事で中から出てきたのは――

「等身大の霧雨魔理沙だ」

れっ、レアものって生の方!?本物なのっ!?
「正真正銘、霧雨魔理沙本人だよ。ただし、眠り茸で良く眠っているけどね」
何という恐ろしいプレゼント……あんなのが袋に入ってたなんて中は一体……。
「それは企業秘密だよ。まぁ、魔理沙も少々ツケが多くなってきたからね。たまには反省して貰わないと」
そう言うと、こーりんサンタは魔理沙さんをさっと妹の吸血鬼のベッドの中へ入れちゃった……。


「さぁ、これで終わりだね。外へ出よう」
紅魔館を出た時、何だか声にならないようなうめき声が聞こえたような気がしたけど……多分気のせいだよね。そうに決まってるよ。


                     ※


そうして、私達の永い夜が終わった。
「今日はありがとう。もう夜は明けるけど、君達のもとにもちゃんとサンタは来るから楽しみにね」
いえ、来なくていいです。変なものを押し付けられるのは嫌です。
「アイアム あたい!ベリーインジョイド トゥーナイト」
あぁ……チルノちゃんもカリスマモードが未だに解けてない……というより、これ何時になったら直るんだろう?
「それじゃあ、またこうりん堂で会おうね」
特に何も言わないで、こーりんサンタ改め、りんのすけさんは行っちゃった。

変なプレゼントばっかりだったけど、プレゼント配りは結構楽しかったかな。
紅魔館の人達には変なプレゼントが多かったけど、人間の里の人達には案外普通のプレゼントが多かったからね……。

ふあぁ……それにしてもプレゼント配りは夜通しだったからすっごく眠いや。帰って寝よう。
あぁ、そうそうカリスマモードのチルノちゃんはお家に届けておかないとね。



そして、家に帰ってゆっくり寝た私。
次に目を覚ましてみると、枕元には立派な大根が置いてありましたとさ。

                                   おわり
by metal-animal | 2009-12-25 22:50 | 東方短編小説 | Comments(8)
Commented by broken-range at 2009-12-25 23:44
読みましたよー!
いや~、クリスマスの味が出ててとてもよかったです。サンタを、こーりんに選んだのも良かったと思いますよ。
霊夢は基本そういうのにあまり興味なさそうだし、祝ったとしてもいつも通り宴会で終わりそうな気しかしませんしね。
なんだかんだで、同人誌でも公式書籍でも、クリスマスを題材にした話を読んだことがなかったんで、すごく楽しめました。(ハロウィーンも読んでみたいとか思ったり)
では。
Commented by ネイムレス at 2009-12-26 16:32 x
どうも、読ませていただきました。
まるで文学小説のような語り口で、ほのぼのとしたそれで居てカオスなキャラがいい味を出していました。
企画に合わせて一本書き上げるのは難しいと思うので、間に合わせてしまえるのも羨ましい才能ですね。

何で大根なんだろう。
Commented by metal-animal at 2009-12-26 23:48
>broken-rangeさん
楽しんで頂けたようで何よりであります。
クリスマスのお話は、石切場さんのHPや他の所でも結構あったと思いますね。そういった数ある話の中でも、読んで面白い、そして楽しめるクリスマスを描こうと思い、そして、無事に描けた事は本当に有意義だったと思います。

それにしても、クリスマスというのは突き詰めると、宗教的なものなので、それを考えるとストレートにお話を作るのは難しいんですよね。今回、自分も無理矢理通したものですが、吸血鬼がキリストのお祭りを信じるなんて可笑しいですからw
Commented by metal-animal at 2009-12-26 23:56
>ネイムレスさん
大ちゃんの一人称のお話なので、大ちゃんの性格、口調、精神年齢を考慮する必要があり、これが中々大変でした。

プレゼントのネタ自体は以前から、個別に考えていたので余り苦にはならなかったですね。しかし、レミリアのクリスマス信仰やネタ(会話)中心で情景描写が余り出来ないという点には、大ちゃん関係の問題を含めて結構苦労しましたよ。
本当のプロの作家というのは、こういう点も本当に上手いもので、自分もどんどん見習って沢山の人が楽しめるような作品を書きたいものです、うん。

ちなみに、大根の件については、
大妖精→大ちゃん→大根 となっています。
大といえば大根、そういった感じです(
Commented by kujoh_ryu at 2009-12-27 13:07
プレゼントがいちいち残念すぎるw
フランちゃんはウフフですね。魔理沙はご愁傷ですが。
イベントものを書くことがあまりないので参考になりました。

しかし……褌型のネクタイって本当にネクタイですか?w
Commented by metal-animal at 2009-12-27 22:53
>玖条柳さん
フランちゃんには最高のプレゼントを・・・(笑)
俺もイベントものはコレが初めてでして、(主に)締め切りとか大変でしたが、書いてみると中々楽しかったですよw

褌型のネクタイというのは、褌っぽい布で出来た真っ白なネクタイで結び目から垂れている様子がまるで褌のような感じです(
まぁ、難しく考えずに褌型なネクタイですよw
Commented by 兎と亀マスク at 2010-01-02 18:45 x
metal-animalさん、明けましておめでとうございます!
あれ、いつの間にか、ブログ名が少し長くなってる……?

metal-animalさんはこーりんのような思いっきり原作設定からかけ離れたようなネタは書かないだろうなーと思っていたので、こーりんが出てきたときはそれだけで驚きましたw

夜が明けたらゲームオーバーとか永夜抄っぽいネタもあったり、細かいところも楽しめました。
足が沈む前にもう片方の足を……というのはかなーり前に漫画か何かで見たような。懐かしいです。こーりんなら湖の上を走り抜けるぐらいやってのけそうですw

「カリスマが出る飴」を食べた後のチルノのセリフは声を出して笑いましたw
metal-animalさんといえばシリアスもの、という印象が強かったのですが、今、その認識を改めましたw
読んでいるだけで楽しかったです♪それでは、今年もmetal-animalさんの小説を楽しみにしています~。
Commented by metal-animal at 2010-01-02 22:52
>兎と亀マスクさん
俺もギャグ漫画が好きなタチなので、そういうのも書きますよw
(一応、原作遵守の精神も置いてですけどね)
自分の大好きなギャグ漫画のように、自分で考えたネタを出せて、楽しんで貰えて本当に嬉しい限りです、うん。

ちなみに、足のネタはサンデーの「兄踏んじゃった」にあったネタだったと思います。(似たようなのは結構あったと思いますが、これが印象に残っているという)

そして、カリスマチルノの台詞はそれぞれ
ストロベリー→ストロング
キューブ→キュート

・・・となっています。コレは伝わっているのかな?w
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