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東方小説 5章その10

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。





ちょっと、いい加減に――私がそう言い掛けたその時です。私の言葉を遮り、打ち消してしまうような……力のある声が――

「それ、本気で言ってるの?」

博麗霊夢です。特に怒っている様子はないようです。寧ろ、呆れているように見えます……。

「あぁ、本気だ。何なら負けた方は勝った方の言う事を何でも一つ聞くってので良いぜ。勿論、霊夢は自分が勝つ方だからな」

「……」

何だか勝手に話が進んでいるようですが、賭け事に関しては私は無関係。私は私の戦いに専念するまで――
「サン、お前も自分が勝つ方に賭けるんだ。お前が負けたら私とお前、二人で霊夢の言う事を聞くんだ、いいな?」
「…………はぁ!?」

なんということ!? 私は驚きの余り、間の抜けた声を出してしまいました。

「だってそうだろ?お前が自分に賭けないと、私を陥れる為にわざと負けるかもしれないじゃないか。だから、私とお前はセット。同じ宝船に乗らないといけないんだよ」
「いや……そんなこと……」

宝船というより泥船。しかも、それに無理矢理乗船させられた形になってます……。
ここは……ここは、流石の博麗霊夢に止めて貰うしか――そう思って博麗霊夢を見ます。
しかし――

「ふん、私も舐められたものね。良いわ。その勝負、受けて立とうじゃない!」

……ダメでした。どうやらノリノリのようです。見事に霧雨魔理沙に煽られてます。
そう言い切ると、霧雨魔理沙と私から完全に目を離し、黙々と料理に手をつけ始めました。
博麗霊夢を煽った当の本人――霧雨魔理沙はしてやったりとばかりににやにやと笑顔を浮かべて――あぁ、どうしてこんな事に……。

「なんで……なんでそんな勝手な賭けをするんですか?そんな……私」
「あぁ?それじゃ、サンは勝つつもりがないのか?」
「そ、それは、勝つつもりでやりますけど……」
ちらり、と横目で博麗霊夢の方を見ます。

「…………」

私と霧雨魔理沙の掛け合いも聞こえているハズ……ですが、敢えてだんまりと、変わらず黙々と手元の料理を口に運んでいます。その目、表情は全く見たくありません。

(おい……いいか?)

突然、霧雨魔理沙が耳元で囁きました。
今度は何でしょうか?もう勝手な話を進められるのは嫌なんですけれども。

(これは大事な話だから、よーく聞いて置けよ?実はな――なんだ)

言い終えるとニヤッと博麗霊夢に嫌らしい目を向ける霧雨魔理沙。
そんな霧雨魔理沙を怪訝そうに睨んでいる博麗霊夢でしたが、どうにも一々霧雨魔理沙の挑発に乗るのも疲れたようで、はぁ……と溜息を吐くと、再び料理に手をつけ始めました。

(ほ、本当にそれで大丈夫なんですか……?)
(あぁ、弾幕勝負は100戦練磨、この私が言う事なんだ。間違いは無いさ)

「じゃあ、後はお前の頑張り次第って訳だ!なぁに大丈夫。お前なら霊夢に勝てるさ。期待してるぜ」

そう言って、私の背中を叩くと、フンフンと軽快な鼻歌を歌いながら、箒を片手に部屋の扉の前へと歩いていきます。
「霊夢も楽しみにしてるぜ」
そう言い残し、バタンと扉を閉めました。

やっとこ頭を悩ませる嵐が去って、平穏を取り戻したハズなのに……
どういう訳か、とっても重いこの空気……。

「まったく……何が楽しみにしてるぜ、よ」
博麗霊夢が呟きます。
私としても同感です。まったく……まったくです。
そして、顔を上げると、そこには何だか気だるそうな――博麗霊夢の顔がありました。

「やっぱり魔理沙も迷惑な連中の一人だわ」
『迷惑な連中』――それは、先程話していた、下手に出ると調子に乗るという人達の事。
「だから、終夜さん。貴方との勝負は本気でやらせて貰うわ。貴方に勝って、魔理沙の奴にきつくお灸を据えてやらないといけないから」

「……望む所です」


博麗霊夢のレミリアお嬢様への態度に始まり、霧雨魔理沙の挑発、そして挑戦。
彼女との出会いは、これからの起こる出来事が一度に全て起こったような――
あぁ、平たく言うと、彼女がどんな人物かを知る前に話が進んでしまった形になったのですよ。

私にとっての博麗霊夢――それは、これから戦う相手としか言えません。
彼女とレミリアお嬢様や咲夜さんとの関係だって、本当の博麗霊夢だって、
どんなものか分からないのですから。

だから、この戦いが終わったら、ゆっくり……ゆっくり話を聞いてみたい。
by metal-animal | 2009-12-26 16:30 | 東方幻想入り小説 | Comments(2)
Commented by ネイムレス at 2009-12-28 20:27 x
どうもー、読ませていただきました。

今回のお話は前回のに続けてあってもよかったかもしれませんね。個人的に文章は長いほど嬉しかったりするので、私だけの意見かもしれませんが。
内容は魔理沙と霊夢の普段どおりの掛け合いと、それに巻き込まれてどつぼにはまっていくサンさんという展開。これはまた続きが楽しみですね。とくに罰ゲームが。
ゆっくり語り合いたいという最後の一言に、この戦いの後の結末は、少し寂しい物になるのかと思ってしまいました。

それでは、今回はこれほどにて。
来年からも小説作り頑張ってください。
よいお年をー。
Commented by metal-animal at 2009-12-28 23:09
>ネイムレスさん
そうですね・・・前回は原稿1、2枚ほど中身を削って進めたので、その分だけ頭がそこまで回らなかったですね。

>この戦いの後の結末は・・・
良くも悪くもフラグは半々くらいになりましたでしょうか?
こういった大一番の勝負の先を悟られないように進めるのが本当に難しいですね。客観的に見ると勝つ方と考える人が多いのかなぁ・・・うーん。
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