東方小説 5章その11

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。







それから間もなく、妖精メイドの方が博麗霊夢と私を呼びにこの部屋を訪れました。
「キュイイイ!!」
妖精メイドさんの後ろから、高い鳴き声が響くと、りゅうが私の胸へと飛び込んできました。
先程の博麗霊夢との緊張を解きほぐすような出来事に、思わず、私の頬が緩みます。
うんうん、ありがとうね。今日は一緒に頑張ろう。
そう思いながら、りゅうの頭をなでなでします。

「あの、サンさん。時間が余りないので良いですか?」
おっと、いけませんでした。緊張が多少解けたのは良いものですが、
肝心な所まで緩めてはいけないですね……。
博麗霊夢も既に妖精メイドさんの後に付いて「早くしなさいよ」と言ったようなぶすーとした顔でこちらを見ています。ああっ、これは急がないと!
「今行きますっ」
パタパタと足を動かして、妖精メイドさんの後を追いかけました。


会場。
パーティの会場として使われている大広間は未だに沢山の妖怪達で賑わっていました。
三角巾の人、傘を持った怖い人、それに霧雨魔理沙の姿まで、実に多くの人の姿がここからでも十分見る事ができます。
――と、そんな私が立っているのは、大広間のステージの上です。
このステージはパーティの会場の中でも一段ほど高くなっており、演劇や楽器を用いた演奏会などを行うのに適しているように思います。
しかし、今回はそういった事に使うのではありません。
私と博麗霊夢を仮想フィールドへ送る魔法陣の設置から、ステージ奥のスクリーンに勝負の状況を映し出したりなど、より多くの人が、私達の勝負を楽しめるような工夫がされているらしいのです。
今、それについて、レミリアお嬢様が直々に説明を始めました。

「今宵はわざわざ紅魔館へ足を運んでくれてありがとう。貴方達は本当に運が良いわ。だって、あの博麗霊夢が負ける所が拝めるんだから」


「……ふぇあっ!!」なな、何という……。
思わず噴出してしましたよ。それにしても、何ですかレミリアお嬢様ぁ。
いくらなんでも、そんな事を言っては会場の皆さんも「そんな事できる訳がない」って、
笑い話になってしまうのでは――
そう思っている私でしたが、それに反して会場のボルテージはMAXに到達しようとしています。

「えー?あんなのが霊夢に勝てるの?」
「あの人があの紅白を倒す……?妬ましいわね」

――といったような、ブーイングは一つとして上がりません。
会場に居る全ての人が(?)このイベントをエンターテインメントとして見ているようで、
次々と「私は貴方に賭けているから頑張ってねー」や「やぁやぁ、今日は有給を入れてでも来て良かったなぁ。折角、私が来てるんだから楽しませておくれよ!」といったようなエールが私に向けて送られてきます。
そんな面白い応援に苦笑いしながら、私は手を小さく振って答えます。
できるだけ小さく……ええ、隣に居る博麗霊夢を刺激しないように、見ないように、です。



準備が整ったという合図が紫パジャマのお付の方――頭からこうもりの羽を生やした方から伝わると、私と博麗霊夢はステージの左右にある魔方陣へと案内されました。ステージに対して、左側が私、右側が博麗霊夢ですね。
そうして魔方陣に足を踏み入れると、あのテストの時のように、仮想フィールドへとワープします。
あの時と同じように、辺りは一瞬にしてステージの上からお花畑へと変化します。
あっという間の変化ですが、以前に一度体験しているだけあって、特に驚きはありませんね。
平静にして冷静、いつでも勝負を始めてもオーケーですよ!

「サンに霊夢。弾幕勝負の準備を始めて。特にサンの方はしっかりやる事、いいわね?」

何処からともなく響いてくる紫パジャマのアナウンス。
そんな事言われなくても分かってますよっ!と言いたい所ですが、今回ばかりは素直に頷いておきます。
館での仕事の時でもそうでしたが、意外としっかり準備をしているつもりでも、肝心な部分を忘れて失敗してしまう事が結構あるんですよね……。普段の仕事なら幾らでも後からフォローが出来るものですが、今回は弾幕勝負、忘れ物があっては勝負にならないのです。特に私の場合は――

だから、さぁっとりゅうと合体した後も念入りに弾幕勝負中の事を考えて、穴がないかを確かめます。あそこでこーして、こーなってもこーすれば――うん、大丈夫!

「さぁ、準備は整ったかしら?良かったら手を挙げて」
私は紫パジャマの言うとおりにゆっくりと手を挙げます。横を見ると、隣のフィールドで博麗霊夢もまた手を挙げているのが見受けられます。


「お互いに準備が整ったようね。それじゃあ、目の前、お互いの空間の中央部に花びらを一枚落とすわ。それが地に落ちたら試合開始よ。ああ、一応言っておくけど、この花びらは空間で制御されたものだから、落ちるタイミングに違いはないわ」

それだけ言い終えると、視界の端――空間の上の方から、一枚の赤い花びらがひらひらと舞い落ちてくるのが見えてきました。
どうやらコレが試合開始の合図のようですね。
くるくると、そして左右に揺れながら、一秒、また一秒と、ゆっくりと時を刻むように花の咲き乱れる地面との距離を縮めていきます。そして――スゥと音も立てずに、その花びらが地面――花の上に落ちた時、この戦いが――今までの中で一番激しい弾幕勝負が始まりを告げたのでした。
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by metal-animal | 2010-01-02 21:54 | 東方幻想入り小説 | Comments(4)
Commented by kujoh_ryu at 2010-01-03 07:23
おぜうさすがだ、愛があっても容赦はしないぜ!(壇上挨拶的な意味で)
いよいよ勝負開始。魔理沙が何を吹き込んだのかが気になります。
あと関係ないですが妬ましい人かなり好きです。
Commented by metal-animal at 2010-01-03 22:57
>kujoh_ryuさん
東方は皮肉の応酬なので、こう言われたらこう返す、みたいなのがあると思うんですよ(笑)
だから、控え室で色々言われて(実は)面白くなかったから、ここでこう返してやろうって、レミリアお嬢様ならそう思うと俺の中では思うんですね。

妬ましい人は細かい部分のネタで登場はしませんが、イメージが浮かんで頂ければ幸いです。
Commented by ネイムレス at 2010-01-05 16:24 x
どうも、読ませていただきました。
そして、新年明けましておめでとうございます。

漸くと次回からの開戦ですね。
勝つか負けるかの予想はともかくとして、どんな弾幕勝負を展開するのかが一番の気に係りでしょう。
飛んでくる弾が曲がって見える巫女相手に、ほとんど実戦経験のない新米がどこまで食い下がるのか楽しみです。

前回になんとなく感じた寂しさとは、この勝負の後のサンさんの行く末の事ですね。
個人的には末永くお嬢様の為に尽くしていただきたいのですが、さてどうなるんでしょうね。

それでは、今年もよろしくお願いいたします。
Commented by metal-animal at 2010-01-05 22:22
>ネイムレスさん
明けましておめでとうございます。
この弾幕勝負は色々と難しくて進行に難があったものですが、それでいて盛り上がるように纏める事ができたと思います。
どこまで行けるかは分かりませんけど、楽しんで頂ければ幸いです、うん。

>前回になんとなく感じた寂しさとは(ry
それについては、ちょっとした路線変更・・・というか勉強をしました。それがどういった物であるかは言えないのですが、驚く事があるかもしれないですね(笑)
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