東方小説 6章その4

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします




目の前をビュンビュンと弾が飛び交っていく……。
最初の頃は、小雨程度だった弾幕も今では本降り。
あと1回の被弾で負けてしまうというプレッシャーや緊張感はかなりのもの。しかし、それでいて、心と体は不思議と落ち着いている私です。

先程の被弾から既に結構時間が経ったと思います。
正確には分かりませんが、10分ほど……でしょうか。
いや、そんなに掛かっていないかもしれませんし、もしかしたら1時間は経ってしまったのかも。
全然、時間の感覚がないんですね。
ただ激しいながらもこの勝負が延々と続くような、あるいは時間の経過が止まってしまったように思えるこの状況。

この状況を、勝負――スペルカードで破ります。

試合開始の時から、少しずつ溜めていた『気』を放出して――いざっ!!



スペルカード――「雨龍自在の術」!!!

青白い光が衝撃波のように辺りを照らし、駆け抜けました。
光は水気を振りまくと、少しずつ空気を湿らせていき、そして――

「……うん!?」

博麗霊夢が足を止め、顔を上げて頭の上、空を見上げます。
その空には透き通るような白い雲。そして、そこからしとしとと冷たいものが降り注ぎます。

「これは……雨?」

博麗霊夢の声が頭の中に響きました。先程でもそうでしたが、この空間での相手の言葉は頭の中に響くようです。

「はい。雨です……でもそれは――」

そう言いかけた所で、博麗霊夢は私の声を遮り、言いました。

「これは魔力で出来た雨ね。弾幕ではなさそうだけど……」


そう、これは弾幕ではありません。確かに『気』で出来ているだけあって、触れたもの――雨を遮るものを感知する効能はありますが、この雨の力はその為ではありません――


スペルカード 雨龍召来「しんりゅう」!!!!


そのスペルカードをかざした瞬間、すっと私の中から何かが一気に抜けていくのを感じました。それは私の『気』の殆どです。そして、その中にはあのりゅうも含まれているのです。



雨が……土砂降りから、風の吹き荒れる嵐へと変わりました。
博麗霊夢のフィールドにはその中心である巨大なりゅう――いえ、私の力を受け取ったしんしゅうが現れ、博麗霊夢を睨んでいます。

「――これが終夜さん。貴方の切り札ね……面白いわ」
そう言って間もなく、博麗霊夢のフィールドの地面が地鳴りを上げながらぐらぐらと大きく揺れだしました。少し体勢を崩しかけるも、博麗霊夢は余裕を浮かべて言います。

「地震?地震と言えば、あの天人だけど――あいつと同じで宙に浮いてさえ居れば、何の影響もないわね」
すっと短く大地を蹴ると、ふわっと宙へ浮かび上がる博麗霊夢。しかし、地震を起こすだけがしんりゅうの全てじゃないですよ!


水流「タイダルウエイブ」!


吹き荒れる雨水が彗星のような津波となり、博麗霊夢を襲います。
「ふん……この程度なら、河童のスペルの方がよっぽど……良く出来てるわよっ!」
吹き荒れる風に煽られることもなく……いえ、逆にその風をも利用して、すいすいと大きな力を持った水の流れを避けていきます。その様子はとても見事としか言いようがありません……。


「さ……さすが……」

思わず声が出ました。
博麗霊夢のフィールドの隣で、りゅうも『気』も殆ど失ってしまった私は、残った自分の地の力だけで、弾を避けながら、その様子を窺っていました。
「…………」
しかし、見惚れてばかりはいられません。私はぎゅっと口を結ぶと歯を食いしばり前へと意識を向けます。
私の『気』を受け取って戦っているしんりゅう。
しんりゅうの力とはいえ、それを動かしているのが私の『気』である以上、しんりゅうは何時までも戦える訳ではないのです。
しんりゅうが自由に動ける状態を作り出している「雨龍自在の術」。
それにも制限時間があるのです。
「雨龍自在の術」が解けてしまえば、しんりゅうは元のりゅうへと戻ってしまう。
それまでに博麗霊夢に一撃を見舞う事ができなければこの勝負……勝つ事は限りなく絶望的になるでしょう。
だから、そうなる前に――


冷嵐「ふぶき」!!
「ギャオオーン!!」
しんりゅうの咆哮が響きます。
その咆哮と共に発せられた冷気が雨を凍らせると、辺りは一気に青白く変わりました。
凍った雨が吹き荒れる風に乗ると博麗霊夢へと四方八方から襲い掛かります。

「ふん……次は吹雪なの?それなら――」
そう言い掛けた所で、博麗霊夢の動きがガクッと鈍り、やがて動きが止まりました。
「ああっ!?これは――」
そう言って顔を下へ向けます。そこには――

先程からの雨に濡れて少し黒ずんでいた博麗霊夢の紅白の巫女服。それが「ふぶき」の冷気で固く凍り、白く染まっているのです。

「ええっ!?ちょっと!」

驚きの表情に顔を引きつらせ、顔を上げた瞬間の事です――


熱線「アトミックレイ」


しんりゅうより放たれた赤く強い光が博麗霊夢のフィールドを覆います。

「くっ……!?」
「……あっ!?」

大きく地面と空気を揺らす衝撃波に大爆発。


やった?どうなった?決まった……?
色々な気持ちが交錯する中で、博麗霊夢のフィールドの中は巻き上がった煙と砂埃でいっぱい、中が見えなくなっています。
最後の「アトミックレイ」を受けた博麗霊夢はどうなったのか分かりません。
でも、あれだけの――私の全力を賭したしんりゅうの攻撃なら、いくら博麗霊夢だって――

「アトミックレイ」により解けた氷が再び雨へと変わりました。
その雨が少しずつ、残った炎と砂埃を薄く、沈めていきます。
少しずつ、少しずつ、博麗霊夢のフィールドが見えてきました。

うっすらと砂煙の中から見えてきたのは――立っている人影!?
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by metal-animal | 2010-01-29 22:38 | 東方幻想入り小説 | Comments(2)
Commented by ネイムレス at 2010-01-30 17:09 x
どうも読ませていただきました。
いきなりFF要素が入って少々困惑しました。複線とかも無かった物で。
それにしても神竜とは懐かしい。技からみてFF5の奴でしょうか。宝箱を開けて色々酷い目にあわされたのを良く覚えています。
いよいよ決着が迫っているようですね。続きが楽しみです。
それでは、この辺で。
Commented by metal-animal at 2010-01-30 23:09
>ネイムレスさん
もともとりゅうのイメージはダーククロニクルというゲームのC・ジェムロンだったのですが、次第にチョコボの不思議なダンジョンのミストドラゴンになりました。
その派生でFF5のしんりゅうの事を思い出して、ネタとして取り入れたので、特には伏線は入れなれなかったんですね(汗)

お察しの通り、『タイダルウエイブ』という表記からFF5が元ネタです。決着までもう少しですし、サンだけでなく俺も気を引き締めて行きますよ、うん。
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