東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。 特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、 そこの所を宜しくお願いします。 ・・・・・・気がつくと、またしても私は自室のベッドの上でした。 前回の時とは異なり、今回は白いシャツに着替えがされており、胴からむ音にかけて包帯が巻きつけられています。 私は、はっと気を持つと、即座に身構えました。 「・・・・・・・・・・・・」 しかし、身構えた所で弾幕は存在せず。 私はただ一人、何かから身を護るようにぽつんと部屋の・・・・・・それもベッドの上で身構える格好となりました。 「はは・・・・・・ここに居るって事は私、負けたんだ・・・・・・」 自嘲気味に笑い、起こしていた体を投げ出すように横にしました。 ぽすっと音を立てて私の体はベッドの上に倒れます。 「痛ぅ!」 ベッドはそこそこ柔らかいとはいえ、倒れた時の僅かな衝撃にさえ痛みが走りました。 私はその痛みに顔をしかめます。 「ふふ、中々面白い顔をするじゃない」 思わずに幼い声が聞こえます。 私はまさかと思い、声のした方へ顔を向けました。するとそこには、私の憧れる幼い悪魔レミリアお嬢様とその従者である咲夜さんが立っていました。 私は驚いたような表情を浮かべながら反射的に身体を起こしました。 痛ぅ!!・・・・・・反射的に無理に動かした体が痛みという悲鳴を上げます。 私は胸の辺りに手を当て痛みを堪えながら、レミリアお嬢様と咲夜さんに向き合いました。 「・・・・・・サン、顔を上げなさい」 レミリアお嬢様は冷たい声で言いました。 私は言われるがままに顔を上げます。 本当は顔を下げたままレミリアお嬢様の顔を・・・・・・姿を見たくはないのです。 普段はあれだけレミリアお嬢様の姿を見たがっているのに・・・・・・。 「はい、レミリアお嬢・・・・・・様」 顔を上げつつも視線を落とします。 しかし、レミリアお嬢様は右腕を伸ばすと私の顎下をつまみ、無理矢理に顔を上げさせました。 「・・・・・・サン、私は顔を上げなさい・・・・・・そう言ったのよ?」 相も変わらず冷たい声でレミリアお嬢様は言いました。 顎元をつまんでいる手も少しばかり力が入っています。 私は逆らう事もできず、そしてその状態から逃げる事もできません。 どうにも仕方なく、私は渋々レミリアお嬢様の顔を見ました。 ほんの先にはレミリアお嬢様の顔があります。すぐに目と目が合いました。 「うっ・・・・・・」ビリビリと締め付けるような頭痛を感じ、私は頭を抑えます。 痛みを振り払おうと私は頭をブンブンと前へ後ろへ振りました。「あぁああ!!」と言葉にならないようなうめき声をあげながら・・・・・・。 そして、少しして急に頭痛は消えました。 一体あの頭痛は何だったのか、私は不思議に思いながらもはぁはぁと息を吐きながら、ベッドのシーツを見詰めます。頭からは冷たい嫌な汗が次々と流れ、そして落ちて行きます。 滴る汗がシーツを濡らし、白いシーツに薄く黒い斑点を付けていきました。 私は、大きく目を見開きながら「顔を上げなさい」と言ったレミリアお嬢様を思い出し、恐る恐るゆっくりと顔を再びレミリアお嬢様へ向けました。 そこには・・・・・・あの最初の日のような、レミリアお嬢様がありました。 あの時は感じる事はできませんでしたが、物凄い嫌な『気』を放出しています。 「ふふ、今回はちゃんと感じているようね。それに・・・・・・」 「・・・・・・」 私は、レミリアお嬢様の『気』に圧され、指一つ動かす事も出来ずにただひたすらにレミリアお嬢様の言葉を聞いています。 「頭痛はしたみたいだけど、幻術が効かなくなってたみたいね・・・・・・ふふ、良いわ」 レミリアお嬢様は目を閉じてククッと笑っています。 その様子を見て、仕えるように隣に立っている咲夜さんは付け足すように言いました。 「美鈴との訓練が実を結んだようね。勝負こそはあぁでしたが、結果としてはそこそこ良かったですわ。私もレミリアお嬢様も中々に愉しめましてよ?」 「さーくーやー、そんな事言っちゃ駄目よ?サンはもっと強くなって貰わなくちゃいけないんだから!」 レミリアお嬢様は子供が駄々をこねるような言い方で咲夜さんの話を遮りました。 話を遮られた咲夜さんは一瞬ぽかんとしていたものの、すぐに澄ましたような上品な笑顔を浮かべます。 私は、そんな二人の掛け合いにふっと笑顔を漏らしました。 本当にレミリアお嬢様と咲夜さんは良い主従であると・・・・・・。 そう思うと私の心には少しばかり不安が影を見せました。 私はレミリアお嬢様の為に、その間に入る事ができるのだろうか・・・・・・心の何処かでそう思うのです。 しかし、今この場にいるレミリアお嬢様は確かに私の事を見ていてくれている。 その事実が・・・・・・希望の光となってその影を照らし、そして消してくれるのでした。 「サン!・・・・・・サン!聞いてる!?」 物思いに耽っていた私はその私を呼ぶ声にはっと我に返り、振り返りました。 「あぁっ、はいっ!!」 そこには両手を腰に当て、平らな胸を張りながら立っているレミリアお嬢様が居ました。 「もしかしたら、まだ先ほどの頭痛の影響が残っているのではないかしら?あんなに頭を振って苦しそうにでしたし」 「あー、ちょっとすんなり効かないもんだから、力を入れすぎちゃったかもしれないわね」 レミリアお嬢様は照れるように苦笑いを浮かべます。 「って、そうじゃなくて!私はサンに話があるのよ!」 「私にですか?」 レミリアお嬢様から私に話がある・・・・・・というのは、最初の日以来初めての事です。 (咲夜さんを通して というのは結構ありましたが) 一体何の話だろう・・・・・・私は唾をゴクリと飲み込み、緊張した面持ちでレミリアお嬢様の言葉を待ちます。 「サン、今回の事で見直すべき点は分かっているわね。まぁ、咲夜が木目細かにチェックしてたから、後で教えて貰うと良いわ。それと、次からはパチェの図書館で仕事をして貰うからそのつもりでね」 「は、はいっ!!」 「これが私がチェックを入れたノートですわ、次までに全て克服しておくように・・・・・・それと時間の合間を縫って訓練はちゃんと続けるのよ?」 そう言って咲夜さんは、私にノートを渡しました。表紙には何も書いてありません。 でも中身は、数ページに渡って、あの弾幕勝負での反省すべき点が綺麗な字でびっしりと書いてあります。余りに綺麗に・・・・・・真っ直ぐ並んだ字を見て私は見惚れるような頭がクラクラするような錯覚さえ感じてしまいます。 「ありがとうござます」 私は咲夜さんにお礼の言葉を言い頭を下げました。 今すぐにでもこのノートを読みたい所ですが、逸る気持ちを押さえノートを隣に置きました。 「話はそれだけよ。私達はそろそろ神社に遊びに行くから」 「はい、いってらっしゃいませ」 レミリアお嬢様と咲夜さんは、背を向け扉へ向かい歩き始めました。 私は少し寂しいような想いで、そんな二人を見送ります。 本心では、私もあの二人と共に神社に行きたいのだと感じます。 そうして幻想郷の色んなものを見て、レミリアお嬢様に皮肉を言われたり、その事で咲夜さんに笑われたり・・・・・・。 そんな日々はとても素敵で楽しい事でしょう。 しかし、今の私ではそれには至らないのです・・・・・・だからもっと・・・・・・ 「もっと強くなりなさい・・・・・・サン」 「・・・・・・!?」 はっとした一言でした。 その一言は、レミリアお嬢様が部屋を出る際に掛けてくれた一言でした。 返事をする間も無く扉は閉まってしまいましたが、その一言のお陰で私の心は幾らでも救われました。 レミリアお嬢様はちゃんと私を見ていてくれている。私の事を認めてくれている。 私はノートに手をやるとパラパラとページを捲りました。 そこには『動きが遅い』『無駄な動きが多い』『反応が鈍い』といった文句が書かれており、それに対する対処法が長々と書かれていました。 少しして私はパタンとノートを閉じると体を倒し天井を見ました。 今頃、レミリアお嬢様と咲夜さんは神社に着いた頃なのでしょうか。 神社で遊ぶ・・・・・・って言ってましたけど、一体どうして神社で遊ぶのでしょうか。 私は、そんな事を考えながら、ランプの明かりを消し、真っ暗になった部屋で目を閉じます。 今日は・・・・・・レミリアお嬢様と咲夜さんと一緒に外に出掛けられる夢がみたい・・・・・・な。 あぁ、そうそう、めいりんししょうもいっしょ・・・・・・にね。
by metal-animal
| 2009-07-10 16:23
| 東方幻想入り小説
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Comments(2)
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ネイムレス
at 2009-07-10 17:51
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どうもー、読ませていただきました。
upお疲れ様です。 お嬢様が最初の時と少し違って、なんだか可愛らしくなっていましたね。 カリスマ全開も良いですが、こちらのお嬢様もやはり素敵だと思います。 metal-animalさんの文章は、読んでいると『ああ、紅魔館組が好きなんだなぁ』と言うのが素直に伝わってきますね。 咲夜さんの文字に対するくらくら具合とか、お嬢様の何気ない優しさとか。こんな風に接してもらえたら、幸せで踊りたくなってしまうでしょうね。 私もこれ位東方キャラに愛を注いで行きたいです。 次章ではパチェさんがメインに絡んでくるのかな、と今から期待が高まります。 これからもがんばってくださいませ。 モラトリアムの人からのお返事、来てくれると良いのですが。 それでは今回はこれにて。
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metal-animal at 2009-07-10 23:33
>ネイムレスさん
ありがたいお言葉ありがとうございます。 紅魔キャラが好きなものでそれが形になるというのは至上の喜びですよ。それでも、まだまだ文章が疎かったり足りていない部分もありますのでどんどんと頑張って完結まで持って行きたいです。 後、返事については特に期待はしてないのですよ。 反応がないのは寂しいけども、そういうのは期待するものでもないし、強制するものでもないですから・・・まぁ、お互いに頑張って行ければ良いのです、うん。
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