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赤き心の龍戦士 第14話

metal-animalの自作小説です。
一応、シリーズもので考えているので名前だけ出ている事があります。
このシリーズ自体が何時終わるのかも終わりませんが、
一つ一つ単独かつそれでいて繋がっているもので、少しずつやっていきたいと思います。







一方、その頃。
シャラが黒き怪鳥の背に乗り、遥か大空を駆けながら暫く経ったその時の事。
赤の国の大きなお城、王様が住まう大きなお城。
その王室で二人の男女が言葉を交わしていたのだった。


「いやぁ、今日も疲れちゃったよー。あ、ミレイ、お茶ぁくれないかい?」
ベッドの上に腰を掛けながら、真っ赤で豪華な王服に身を包んだ男・・・・・・イオスである。
「あー、これも暑いんだよねぇ、そーれっ!」
黒い短めの髪をバサバサと掻きながら、イオスは長く暑苦しい上着をベッドの上へ投げつけた。
上着は無造作に宙を舞った後でだらしなくベッドの上へと被さった。

そんな様子を溜息混じりに眺めている女性が一人。
「あー、はいはい。今日もたっぷりだらしねぇなぁ。ほぉら、お望みの茶だぁ・・・・・・たっぷりと喰らいなっ!!」
そう言うと女性は先程に投げられた上着よろしく、手に持ったお茶をカップごとベッドに腰掛ける男・・・・・・イオスへと投げつけた。
カップから投げ出されたお茶は、形を崩しながらイオスの顔や胸へとぶつけられた。
「うわぁっ!!ひどいよ!ミレイちゃんー!!」
イオスはだらしなく泣き叫ぶ。しかし、この部屋に居るのは自分と女性・・・・・・ミレイシャの二人だけ。泣き叫んだ所で他の誰もが反応してはくれないのだ。

「うぅ・・・・・・ぐす。相変わらず誰も反応してくれない・・・・・・」
そう拗ねたのも束の間、女性がイオスの胸倉を掴むとそのまま上へと持ち上げた。
イオスの身体は力なく女性に持ち上げられる。足がぶらーりと宙吊りとなっている。
「だぁかぁらぁなぁ?その『ミレイちゃん』ってのは辞めろっていってんだろう?オレはミレイシャっつぅの!『ミレイ』までは許してやっけど、『ちゃん』付けだけは絶対ダメだ!!」
「ふえぇー、ミレイちゃん怖いー!」とイオスが泣きべそを掻く。ミレイシャは怒るのにも嫌になったようで、イオスをベッドの上へ放り投げた。
・・・・・・ったく、と悪態を吐くミレイシャにトホホとベッドの上で仰向けになっているイオス。


ミレイシャはおもむろにドレッサーの前へ着くと、月の光のように輝く金髪へと手を伸ばした。
口調も態度もぶっきらぼうなミレイシャであるが、肩まであるその髪はとても綺麗でミレイシャ自身も気に入っている。あぁ、特に乱暴でなければ・・・・・・とイオスも常々思っている。
顔立ちもちょっと釣り上がった目元も可愛いし、やはり喋らなければ・・・・・・良いのにと思ってしまう。

「お前も同じようなもんじゃねぇか・・・・・・」
不意にドレッサーに向かっているミレイシャが声を上げたので、また怒られるんじゃないかとイオスは思わず背筋を伸ばした。黒い髪も緊張を漂わせるように逆立った。

「お前もだらしなくなけりゃ相当良い男だぜ?普段民衆どもに見せてる奴だって縁起だけどかなり様になってる。差し詰めオレもお前も似たもの同士なんだ。だから、こうして組んでるんだろうよ?」
ミレイシャは鏡に映るイオスを見ながら言っていた。
怒る事はしなかったが、先程イオスは自分が向いていないのを良い事に変なポーズを取っていた。

「えー!俺としてはディビアラのとこのクルミルルちゃんが良かったんだけど・・・・・・」
「げっ!?お前あんなのが良いのか!?ありゃ、見た目も中身もガキだぜ?ディビアラの奴もクルミは困った奴だって嘆いてたし、お前と組んだら絶対何も出来ねぇよ・・・・・・あ、これはディビアラの奴も言ってたぜ?」
「ええっ!!ディビアラも言ってたの!?むぅ・・・・・・あいつにだけは負けてないつもりだったのに・・・・・・」
イオスはポケットからハンカチを取り出すとようやく顔を拭き始めた。
「それでも、多少お前は頑張ってると思うよ、オレは。何つったかな・・・・・・前任の王を失脚させるし、赤の国の戦士どもは少しずつ潰してるし・・・・・・お前頭だけは少し良いんだよな、オレ以下だけど。それよか、お前だけの歳を誤魔化せる魔法が役に立ってるんだからすげぇってなぁ」

ミレイシャは、ぱんっと一つ手を叩く。そして、立ち上がり身体を伸ばした。
その頭には綺麗な金髪でポニーテールが作られている。

「さぁて、オレはちょっとばかし出掛けてくるからよ。てめぇは判子を押す仕事に手紙やら何やらに目を通す仕事をやっとけよな」
そう言うと入り口付近に詰まれた書類へと目を向けた後で何の気もなく部屋を出て行った。

「はぁ、これさえ無ければ良いんだけどなぁ・・・・・・」
イオスは溜息を吐き忌々しげにその書類の山を見詰めていた。
by metal-animal | 2009-08-16 23:00 | Comments(0)
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