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東方小説 5章その1

東方projectの二次創作小説です。
オリジナルキャラクター、設定の独自解釈があります。
特に自分の東方を幻想郷を大事にしたい方は、無理をして見る事はありませんので、
そこの所を宜しくお願いします。






私が人間の里へお使いに出てから、一ヶ月程が経ちました。
博麗霊夢との弾幕勝負の日も刻々と近づき、今はもう、私の1日は、殆ど仕事という名前の修行となっています。
図書館では勉強、門の前ではめいりんししょうとの体力増強や回避のトレーニング、館の中では長い廊下をモップを片手に掃除をします。
そうそう、私の使い魔であるりゅうは、普段はめいりんししょうに預けています。
それで、めいりんししょうとの修行の間は、りゅうの発射する水鉄砲を避けたりなど、一緒にトレーニングをやっていたりするのです。時に、私が反撃として弾幕を出し、それが命中してしまう事もありますね。一応、曲りなりにも毎日トレーニングしている私の弾は決して軽いものではないのです。それなのに、全然、りゅうはダメージを受けている様子がないんですよ。丈夫なんです。

これについて、トレーニングのブレイクタイム。お茶の時間に、めいりんししょうに聞いて見た所、何でも私が居ない時はめいりんししょうとスパークリングをやっているらしいのです。
今はもう、昔の事のように思えますが、あの時の事・・・・・・。あの椛さんの強烈な飛蹴りを受けて倒された時の事を悔しく思っているのかもしれません。りゅうの本心は分かりませんが、弾を受ける時のりゅうの気風。それには避ける事が難しそうな無数の弾幕を恐れずに向かっていくような・・・・・・そんな強い気持ちを出ていたものです。

だから、私も、負けてはいられないのです。
レミリアお嬢様の為にも、めいりんししょうの為にも、りゅうの為にも――そして、今まで出会ってきた人達と思い出の為にも・・・・・・。



そんな気持ちを抱きつつ、図書館で勉強をしていたある日の事です。
私が魔法――属性や力の作用についての本を読んでいた時の事です。
ギィ・・・・・・と、図書館の入り口の扉が開く音が、静かなこの空間の中で、ひっそりと響いたのです。
うん?――私はそれが気になって、イスから立ち上がります。
この図書館のメインキャスト的な紫パジャマは、ここの所、図書館の奥に閉じ篭っているので(普段からそんな感じですが)、図書館に入って来たのは紫パジャマではありません。

私は本にしおりを挟み、机の上におくと、入り口の方へ向けて歩きました。
いくつのも本棚をかき分けた先、扉の前には一人の人影が見えます。
薄暗くて良くは見えないものですが、咲夜さんでしょうか・・・・・・?
咲夜さんは、時々頼み事や差し入れを持って来てくれる事があります。
しかし、それはもう今さっき・・・・・・30分ほど前にお茶とパンを持ってきてくれたばかりです。

だとしたら、また何か頼みごとでしょうか?そう思いながら、その人影に目をやります。
その人影は、頭にはとんがり帽子を――そして咲夜さんにはない長いスカートを纏ったシルエットをしていました。


「「・・・・・・あっ!?」」


私とその人影は、同時に声を上げました。
ある程度近づいて見えてきたそのシルエットの人物・・・・・・それは霧雨魔理沙だったのです。

「あ、貴方は確か・・・・・・霧雨魔理沙!?」
「おっ?今回は名前を読んでくれたな?そっちは・・・・・・えーと、終夜さん・・・・・・だっけか?」

「終夜 サ ン です!惜しいけど、ちょっとだけ違います!!」
あぁ、そーか!そうだったなぁ!!と霧雨魔理沙は腰に手を当ててわざとらしく笑っています。
「それで、貴方が一体何の様なのですか?もしや、また本を盗みに来たのですか!?」
私は眉にしわを寄せながら、霧雨魔理沙を尋問します。
あの時、彼女を通したばっかりにめいりんししょう共々、咲夜さんにみっちりと怒られたのは今でもよーく覚えていますよ。騙された時の言い分、その一言一言、それらも全て覚えています。本当、忘れられない出来事だったんですから・・・・・・。そんな、私のそれとない怒気を受けながらも、霧雨魔理沙は気に留める様子も見せず、とぼけたような顔をすると言いました。

「あぁ、違うんだ。今回はパチュリーの奴に呼ばれたんだよ。何でも頼みたい事があるとかで・・・・・・って、これは本当だぜ!?」

その言葉に疑いの目を向けられている霧雨魔理沙は手を前に出して否定をしてみせます。
「おぉ?まるで信じてないな・・・・・・なら、パチュリーに直接確認してみるまでだな」
そう言うと、霧雨魔理沙は図書館の奥の方――紫パジャマが居るであろう方へ向けて歩き出しました。

そうして数分、紅魔館と比べて果てしなく広い図書館の最奥部。そこに紫パジャマの姿がありました。
何やら、複数の魔方陣を作り、その中心で本を広げています。

「おーい!パチュリー!!言われた通り、来てやったぜー!!!」
霧雨魔理沙が手を振りながら呼びかけると、紫パジャマはちらりとこちらを向き、本を閉じます。本を閉じたその瞬間、周りの魔方陣がスゥと透き通り消えていきます。魔方陣が放っていた幻想的な青白い光りも消え、うっすらと暗い、いつもの図書館がそこに現れました。

「ふぅ、やっと来たわね」と紫パジャマはこちらに歩み寄りながら呟きます。
「やっと、とはご挨拶だな。こっちは言われた通りに来てやったのにさ」
「何処がよ・・・・・・私は昼間に来るように言ったのよ?今はもう夜じゃない」
「えぇ?今し方、ここには来たけど、外じゃお天道様が顔を出してたぜ?やっぱり昼じゃないか」
「そんな事を言っても無駄よ。さっき咲夜が夕食を持ってきたもの・・・・・・間違いないわ」

「へぇへぇ」と霧雨魔理沙は悪びれる様子も無しに軽く返事をします。
今もまた嘘を吐こうとしていましたが、どうやら『紫パジャマに呼ばれて来た』というのは、本当のようです。


「それで、私に用って何なんだよ。面倒事なら報酬として本を貰ってくぜ?」
「・・・・・・普段からそれくらいの気概を持っていれば良いのに・・・・・・まぁ良いわ。あんたに頼みたいのは、特殊フィールド魔法のテストよ」
「フィールド魔法?なんだ、それ?」
「仮想空間で弾幕勝負ができる魔法よ。普通の弾幕勝負だと、あんたのマスタースパークみたいに周りに迷惑や被害を出すから、それを防ぐ為に魔法で新しい空間を作って、そこで弾幕勝負をしようって訳。もう一ヵ月後くらいに、そこのサンと霊夢がこれを使って弾幕勝負をするから、そろそろテストが必要なのよ」

「あぁ?ちょっと待て。こいつと霊夢が弾幕勝負だって!?大丈夫なのかよ・・・・・・それ」
ちょっと失礼な発言に眉が動いた私ですが、霧雨魔理沙がそう思うのも尤もな事です。だから、ここはぐっと我慢します、うん。

「ええ、サンの事はともかく、周りの被害や迷惑を掛けないバトルフィールドの作成って言ったら、霊夢の方は快諾してくれたわ。ホント、そんなのが出来るようになるのは向こう100年以上は先なのにねぇ」
「ははっ、やっぱりなぁ。そんな事じゃないかと思ったんだ。しっかし、霊夢の奴も馬鹿だなぁ。そんな話に釣られるなんてな」
霧雨魔理沙はくっくと笑っています。

「・・・・・・・・・・・・」
どうにも紫パジャマと霧雨魔理沙の二人は、魔法の話で盛り上がって(?)しまい、魔法に関して余り知識のない私には会話に入る余地が殆どありませんよ・・・・・・。
このまま居ても仕方がなさそうなので、、私はこの場を失礼しようと思います。
さっきの本も、未だ読み終えていませんし、あんまりのんびりしているとあっという間に就寝しなければいけない時間になってしまいますからね。

「それじゃあ、これにて私は失礼します」
そう言って、とりあえず、おじぎをした上で、この場を後にしようとしたその時です。


「何処に行くの?貴方にもやってもらうんだけど・・・・・・」


そう、紫パジャマが言いました。
by metal-animal | 2009-10-16 19:00 | 東方幻想入り小説 | Comments(2)
Commented by ネイムレス at 2009-10-16 19:28 x
どうも、読ませていただきました。

この章が最後という事で、なんだか読むのが惜しくなってしまいますね。
それでも読みたいのですけど。
この展開だとやはり次にはエキシビジョンマッチが待ち受けているのでしょうか。楽しみですね。

>>いくつのも本棚を書き分けた先、

それでは、また次も楽しみにしていますね。失礼します。
Commented by metal-animal at 2009-10-16 21:46
>ネイムレスさん
こんばんは。今回もコメントありがとうございます。
この小説は東方のステージ構成と同じ6章構成になっています。なので、終わりが近い事には相違ないですけど、もう少しだけ続きますので、どうぞ心配なさらずに(笑)

霊夢との弾幕勝負はその難しさから、途中で諦めてなかった事にしようと何度も思ったものですが、東方を楽しんできた俺だからできる方法・・・それを見出し、進める事ができました。
それでも、難しい事には変わりないですが、足りなければどんどんイメージを補って、良い形でこの勝負を終わらせたいと思いますね。

誤字の方は修正させて頂きました。ありがとうございます。
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